お客様を巻き込むための「共犯意識」とは? by JANAI COFFEE

“体験”に価値を置いた飲食店が注目を集めるようになった昨今、今年8月に恵比寿にてオープンした『JANAI COFFEE』もそのひとつ。

一見すると何の変哲もないコーヒースタンドですが、ここは秘密の空間への入り口でしかありません。実はJANAI COFFEEは、コーヒー屋のふりをした「バー」。ある秘密を知っている人だけがこの先の空間へ進むことができます。

そんな不思議なお店づくりを実現した3つの考え方を、連載形式でお送りします。

人に話したくなる体験を生む、JANAI COFFEEの作り方

Prologue:JANAI COFFEEが作り出す「ここに来ないと体験できない」価値
Point 1:スマホ1つで完結させるギミック
Point 2:お客さまを巻き込む共犯意識(本記事)
Point 3:全スタッフがプランナー


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「実はめんどくさい」スピークイージーのシステムをいかに完遂したか

大槻
スピークイージーは面白いシステムなのに、なぜ日本にはお店がないんだろうって思ってたんですけど、やってみてその答えが分かったんですよ。

──なんですか?

大槻
面倒くさいんです(笑)。

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──その面倒くささを、具体的に聞いてもいいですか。

吉田
例えば、JANAI COFFEEの出入口ってカフェに入るための扉と、そこからバーに入るための隠し扉の二か所なんですけど、どちらも繋がってるじゃないですか。

これから入るのを楽しみにしているお客さんの目の前で、酔っぱらったお客さんが「楽しかったねー」と隠し扉から出てくるのだけは避けたいわけです。

──なるほど。お客さんの退店タイミングを間違えると、ダイレクトに次のお客さんの体験価値低下に繋がるんですね。

吉田
なので、お客さんが退店するときに入店待ちのお客さんがいるときは、先に入店待ちのお客さんをバーの中へと通してしまうよう、カフェ側とバー側で連携を取りながらコントロールしています。

ただ、退店待ちのお客さんをお待たせしすぎると今度はこっちの体験価値を損ねることになるため、難しいんですよね。

──でもその面倒くささは、世界観を守るためには必要ですもんね。そう考えると、店員さんの演技が徹底しているのも、この世界観を守るために機能していますよね。

特に、カフェ側の店員さんはお客さんに何を聞かれても奥にバーがあることを教えてくれないと聞きましたが本当ですか?

吉田
本当です。もちろん最低限の受け答えはマニュアルを作りつつ、「裏は倉庫ですよ」とか「更衣室です」みたいに店員によってバラバラにならないように、設定の統一はしています。

「裏にバーがあるんですか?」と聞かれたら「ないです」と答える、くらいの感じで。

──お店に興味を持って来てくれたお客さんを場合によってはそのまま帰すことになっちゃうのって、心苦しくないですか?(笑)

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吉田
いや、本当に心苦しいですよ(笑)

予約した画面を見せてきて「予約してるんですけど、ここですよね?」と言われても、「いや~ここじゃないと思いますね。カフェなんで」と答えるしかなくて。

それでも、設定に忠実に対応することが、このお店の体験価値を守ることに繋がるので、グッと耐えてもらっています。

──設定をちゃんと理解していなかったり、照れもあったりしますもんね。退店タイミングにも通ずる話ですが、お客さん側をどこまで設定に引き込めるかが重要だなと思いました。

吉田
それはありますね。バーから退店するときにコーヒーをお土産で渡すんですけど、それも形式上渡しますということではなくて、「一緒にコーヒー屋さんに行ったフリをしてほしいので、帰りにコーヒーかお茶をお持ちいただいています」と渡してるんです。

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──「フリをする」ことに付き合わせることで一種の共犯意識を持たせるというか、お客さんと一緒に体験を作っているんですね。

JANAI COFFEEの作り方2 お客さまを巻き込む「共犯意識」 体験の価値を最大化するためには、どこまで設定に引き込むかが’重要。「フリをしてほしい」というセリフが、お客さまに共犯意識を生みます。

第4回に続きます(最終回)

バイトではなく「プランナー」?スタッフを活性化するヒント by JANAI COFFEE

写真:藤原 慶 編集:Huuuu

早川大輝

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早川大輝

フリーランスの編集者・ライター。インタビューやエッセイの編集、執筆をしています。日常的にメモを残すのが癖で、エンタメや食べ物に関することを淡々と記録することが好きです。