コミュニケーションツールとして広く利用されるLINEは、飲食店でも強力なリピーター獲得ツールとなりえます。本連載では、運用の基本や友だちの集め方など飲食店がLINE公式アカウントを活用するための方法をご紹介。自分のお店に適した活用方法を見つけてください。第1回は、LINE公式アカウントの概要と開設方法です。
LINEで集客するメリット
LINE公式アカウントは、LINEアプリを通して企業や店舗とユーザーの距離を縮める法人向けアカウントサービスです。通常のLINEアカウントにはないメッセージやクーポンの配信、タイムラインへの投稿などさまざまな機能が用意されていて、集客・販促ツールとして活用できます。
ビジネス利用のLINEは「LINE公式アカウント」
以前はLINE@(ラインアット)という名称のサービスもありましたが、LINE公式アカウントに統一されました。
1)すべての機能が原則無料
LINE公式アカウントは無料から使用できるツールです。
なお、無料のプランの場合は配信できるメッセージが1000通まで/月と制限がありますのでご注意ください。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
---|---|---|---|
月額固定費 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ通数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金 | 不可 | 5円 | ~3円(詳細) |
配信メッセージ数は、友だちの人数は関係ありません。
たとえば、友だちが100人いた場合、月に10通まで配信することができます(100人×10通=1000通)
週に1回、月4回の配信を行うのであれば、友だち数250人分まで無料ということになります。(1000通÷4回=250人)
1000通を、その時いる友だちの数で割れば、月に何回メッセージを一斉送信できるか調べられるってことだね
メッセージの配信方法は、友だち全員へ一括送信するだけではなく、特定の条件で絞ることもできます。慣れてきたら活用してみましょう。本連載でもあらためてご紹介します。
2)アクティブユーザーが多い
LINEは、登録者数は国内で8500万人(2020年時点)、さらに毎日利用しているユーザーはそのうち85%(※1)にもおよびます。日本の総人口が約1.25億人ですから、たいへん高い普及率であることがわかります。
3)メルマガよりも開封率が高い
届いた情報を開封する確率が、メールマガジンが平均10%〜30%のところ、LINE公式アカウントは約60%と言われています。利用頻度もLINEはメールの5倍(※2)あり、より身近なLINEに送ることで、閲覧者も開封しやすくなります。
LINEの特性をつかんで運用するのがキモ
くわしくは第3回「LINE公式アカウントの友だち登録の集め方」でご説明しますが、お客様にとってメリットのあるメッセージに絞って配信することが前提になります。LINEはメルマガよりも開封率が高い一方で、気づきやすいがゆえに“不要な情報”と判断されると「ブロック」されてしまいます。本連載をとおして、LINEでの訴求はどんなかたちが好まれるか、理解を深めていきましょう!
4)来店や購入を促進する機能がすべて無料
画像とメッセージを同時に送るリッチメッセージ、継続利用を促せるスタンプカード、専用のクーポンや抽選機能もあり、これらの機能がすべて無料で使えます。
5)チャットでお客さまの予約を取れる
LINE公式アカウントでは、友だち登録をしていただいたお客様とチャットを行える機能があります。
ホールスタッフが忙しく電話が取れない時でも、チャットから連絡を受け、手が空いたタイミングで返事をすることで予約の取りこぼしを減らせます。また、テキストの履歴が残るため、口頭でのやりとりよりもミスを防げます。
お客様と直接やりとりするチャット機能は、送受信に回数制限がありません。無料プランでも安心して活用できます。
LINE公式アカウントの機能
メッセージの配信
通常のLINEと同じようにメッセージの配信を行えるので、むずかしい操作いらずで店舗の最新情報やキャンペーン、クーポンなどを手軽に送ることができます。
また、配信したメッセージはプッシュ通知が届くため気づきやすく、開封されやすくなります。
一対一チャット
手動での返信をオンにすれば、友だち登録していただいたお客様と一対一でのチャットを行うこともできます。
応答メッセージ・AI応答メッセージ
店舗側でキーワードを設定して、自動で応答を行うことができます。 またAI応答メッセージでは、予め設定されているキーワードに店舗情報を設定しておくことで、ユーザーのキーワードに対して応答することができます。
応答メッセージ・AI応答メッセージについては別の回でもさらにくわしくご説明します。
クーポン・ショップカード
LINE上でクーポンを発行できます。友だち登録者全員を対象にすることはもちろん、抽選式のクーポンも発行できるため、全員配布よりも特別な商品・サービスを設定するなど、工夫次第でLINE友だち数やリピート率アップに向けた施策も展開できます。
また、ショップカードと呼ばれるスタンプカード機能もあります。あらかじめ設定した来店回数やポイント数に対してプレゼントができるので、紙で発行するタイプに比べ紛失のリスクもなく、リピート率アップを促進できます。
タイムライン投稿
配信メッセージだけでなく、Twitterのような「タイムライン投稿」も可能です。 タイムライン投稿に友だちが「いいね」をすると、その友だちのタイムラインにも表示されます。すると、友だち登録していない方の目にもとまるため、LINE上での拡散による認知拡大も期待できます。
アカウントを開設しよう
アカウントは2種類
LINE公式アカウントは、「認証済みアカウント」「未認証アカウント」の2種類があります。
- 認証済アカウント:LINEの審査を通過したアカウント。認証済みになると、認証バッジが付与され、認証済アカウントでしか使えない機能も増えます。ただし、認証までに10営業日程度を要します。
- 未認証アカウント:個人法人を問わず、審査なしで作成できるアカウント。すぐに作成できるという利点があります。
申請は余裕をもったスケジュールで
認証済アカウントの審査には、時期により10日以上を要する場合も。また、申請して一定期間経つとLINEから本人確認の連絡がメールで届きますが、そちらに返信しないと申請自体キャンセルされてしまいますのでご注意ください。
認証済みアカウントの場合
認証アカウントのメリットは以下になります。
- 認証済アカウントバッジが付与される
- LINEアプリのアカウント検索結果に表示される
- 販促用ポスターデータをLINE公式サイトから無料でダウンロードできる
- POPなど、友だち集めに有効なツールを発注できる(有料)
- 有料プランを利用の場合はクレジットカード以外に請求書決済が選択できる
未認証のままだと友だち追加をするためにQRコードを読み取るかURLをクリックする必要がありますが、認証済みだと、LINEアプリから検索して友だち追加できるほか、友だち追加を促すための販促ポスターのデータもダウンロードできるようになります。
LINEキャラクターのデザインが無料で使える!
ダウンロードできる販促用ポスターには、LINEキャラクター(ブラウンやコニーなど)があしらわれています。こちらを利用せずにポスターをゼロから自作すること自体は問題ありませんが、LINEキャラクターを無断で掲載するのはNG。正式な手順をふんで活用しましょう。
認証アカウントの申請自体は費用がかかりませんので、申請してみてくださいね。
開設方法
LINE公式アカウントの開設は公式ページから行います。 「認証済みアカウントを作成」からアカウントを作成しましょう。
1)アカウントの作成
「アカウントを作成」を押して進みます。
2)登録アカウントの確認
LINE公式アカウントにアクセスするためのユーザー登録をします。個人のLINEアカウントをお持ちの場合は自身のアカウントで登録できます。
アカウントにアクセスできるユーザーやそれぞれの権限は後から追加・変更・削除できます
3)基本情報の入力
認証済みアカウントの場合、個人名での登録はできません。アカウント名として登録できるのは企業名/店舗名/サービス名/商品名等となります。
アカウント名は正しいものを!
アカウント名は、未認証アカウントのみ、あとから変更可能です。よって、認証バッジの申請前までは修正できます(※)。認証バッジ申請後は管理画面での変更はできず、希望者はLINE社に直接問い合わせる必要があります。正しい店舗名を入力しましょう。
※ただし、一度変更するとその後7日間は変更できません
4)店舗情報の入力
業種で 「店舗」を選択すると、以下のような店舗情報入力箇所が表示されますので入力してください。
5)会社情報の入力
会社情報があれば入力を、店舗のみであれば「店舗情報をコピーする」ボタンを押してコピーしましょう。
6)申込者情報の入力
7)規約を確認したら登録完了
LINE公式アカウントの利用規約を確認し、登録内容を確認し申込みしたら申請は完了です。
承認までは、通常土日祝日をのぞいた10日前後かかります。審査結果は申込みしたメールアドレスに届くので承認を待ちましょう。
申請結果の確認を見逃さないように!
申請して一定期間経つとLINEから本人確認の連絡がメールで届きますが、そちらに返信しないと申請自体キャンセルされてしまいますのでご注意ください。また、先述のとおり、認証済アカウントの審査には時期により10日以上を要する場合もありますので余裕を持って準備しましょう。
以上が登録の流れです。
今回はここまで。次回は「LINE公式アカウントを開設したら行うべき!3つの設定を解説」について解説します。
※1)2020年12月期 第3四半期 決算補足説明資料のデータを参照
※2)ホノテによるSNS、メール、電話などのコミュニケーションツールに関する調査を参照