"間借り店の営業"を通して、店舗独立後も支えてくださるファンを作る by サンラサー 中編

飲食店が店づくりを続けていくために、必ず考えることになる「お金」の問題。融資や補助金の話から、日々発生する「お店から出ていくお金」に到るまで、さまざまな飲食店の「お金に対する考え方」を聞いていく当連載。

第二回では、初期投資の少ない「間借り営業」スタイルで自身のカレー店をスタートさせた東新宿の人気カレー店『サンラサー』に取材。3回に渡って、「間借り店から店を始める」ことに至った経緯と現在の店舗経営に与えた影響について伝えていきます。

SANRASAのお金との向き合い方

Point 1:設備投資は10万円のみ。開業資金が抑えられる!
Point 2:"間借り店の営業"を通して、実店舗のファンを作る(本記事)
Point 3:「本当にやりたい営業スタイル」を具体化させた間借り店


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毎日のメニュー告知、夜のバーでのカレー提供。間借り店ならではのファンの作り方

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——間借り店の場合「夜はバー営業をしている場所の、昼間だけ場所をお借りしてカレー屋をひらく」ことになりますよね。元々店を構えている側はともかく、間借りする側は看板など手を加えられる箇所にも限りがあることで、存在を認知されづらいケースもあるのではと思います。お客さんに知ってもらうための広告や宣伝にはお金をかけたりしましたか?

お金をかけるというよりは、『バーでの間借り』を生かして宣伝していたと思います。

バーとして営業している夜の時間にも、店主さんに預けたカレーを提供してもらったり。バーのお客さんに「昼はカレー屋さんをやってるんだよ」ってチラシを渡してもらったり。

——まずは場所を知っている人に対して、サンラサーの存在を伝えていったんですね。

それから、友人からアドバイスをもらったのをきっかけにInstagramで集客を始めました。

最近は飲食店を探すとき、Googleで「新宿 グルメ」と検索するのではなく、Instagramで「#新宿ランチ」とハッシュタグを活用して検索し、写真を見たうえでジオタグ(※)を確認する人がとても増えていると聞いて。

※ジオタグ…Instagramにおける位置情報のこと。SNSユーザーは投稿にこのタグを紐付けることができる。

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——毎日! 日々、他の業務もあり多忙を極めるなか、すごいですね。ネタがなくなることはなかったのでしょうか?

日々よりよいスパイスやカレーの組み合わせを考えたりしていたので、ネタが尽きることはなかったですね。

また、Instagram上だけでなく、その日来店されたお客さんに「明日はこれをつくります」と予告をしておくと「じゃあ、明日も来ますね」と言っていただけることが多く、励みになっていました。

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こちらが、サンラサーのInstagram。実店舗を構えてからも投稿を続けているそう。

——なるほど、確かに「明日はこれを作ります」という予告を個別にされたら、お客様としては特別感を感じますし、気になってしまいますね。

既存のお客さんに何度も足を運んでいただくことが売り上げの面でも間違いなくプラスにつながるので、より高い頻度で来てもらえるように工夫を凝らしたんです。

——そうして、徐々にファンが増えていったのですね。むやみに広告宣伝費を使うのではなく、お客様とのコミュニケーションを積み重ねて、着実にファンを作られている印象です。

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2017年当時、ゴールデン街に登場した間借り店の先駆けがサンラサーや、現在新宿三丁目に移転した『エピタフカレー』だったので、「間借りカレーという面白いムーブメント」自体を応援してくださるお客さんが多かったのも、後押しになったと思います。

エピタフカレーとは同じ街でカレー屋をやっていたこともあり、お互いのお店のカレーが余ったら交換して食べたり、お米を借りたりして(笑)。仲が深まったのもいい思い出です。

——応援してくれるお客さんが出てきたり、近隣店舗とも仲がよくなったり…...。素敵ですね。改めて、間借り営業を始める良さと注意点は何だと思いますか?

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良さは、はじめにお伝えしたように最初の設備投資が10万円だけで始められて、固定費が安かったことはもちろんあります。くわえて、間借りしていたバーの常連さんにサンラサーの存在を知ってもらえることでこちらにも通っていただけました。その点では、ファンづくりもしやすい環境だったと思います。

注意点は、ひとつの店舗内で自分以外の人もお店を運営しているのを肝に銘じておくこと。お店のクレンリネス(※)ひとつとっても、お互いの基準が違うと揉める原因になります。

たとえば、夜働いていた人が掃除をしないで帰ってしまうと、翌日の昼に働きに来た人が、掃除がされていない状態から開店準備を始めなければならないなど。

※クレンリネス…清潔で、快適な状態を保つための取り組み方

——間借り先の常連さんがファンになってくれるのは、間借り店ならではですね。

そうですね。間借り店時代に店を好きになってくれた人たちは、独立して店舗を構えることになっても、ずっとファンでいてくれました。その存在もありがたかったですね。

——独立の店舗を構えてからのことも、引き続きお伺いしたいです。

SRANRASAのお金との向き合い方2

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バーや居酒屋などの場所を間借りし、小さくお店を始めることのできる間借り営業。その良さと注意点について、『サンラサー』と同時期に間借り店をスタートさせ、現在も新宿三丁目で実店舗を営業する『エピタフカレー』店主・佐藤さんにも伺いました。

——ずばり、間借り店の良さはどんなところでしょうか?

良さは、「自分のやりたいことを早く形にできる」ところです。

「これまでは、『飲食店で何年も修行したのちに独立』というのが王道ルートでした。けれど間借り営業でスタートすれば、「やってみたいな」と思ったことをすぐに実践できます。もちろん、そのぶん独学での努力が必要になります。

——では、注意点はどんなところだと思いますか?

注意点は、「衛生観念を独学で積極的に学ぶ姿勢がないと、リスクが生じることがある」ところです。

「間借り営業はある意味『飛び級』のようなもの。『衛生観念』やそれにまつわる知識は、ゼロから飲食店を立ち上げれば自然と身に付きます。

一方で間借りの場合、既存の環境を活かすかたちになるため、そういったことは積極的に独学で学ばなければいけません。私の場合、衛生管理責任者の講習を受ける以上に、テキストを読み込んだりと真剣に学びました。

エピタフカレー
東京都新宿区新宿3-7-5第2シグマビルB1F
11:30-14:30(LO)
公式Twitter

後編に続きます

「実店舗でやりたいこと」を具体化させた間借り店 by サンラサー 後編

写真:藤原 慶 編集:Huuuu

高橋まりな(ふつかよいのタカハッピー)

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高橋まりな(ふつかよいのタカハッピー)

三度の飯より酒が好きなフリーライター。合言葉は「約束はいらない、酒場で会おう」。