コロナ禍の売上低迷を食い止めるための、客単価を上げる4つの方法

新型コロナウイルスの流行によって、多くの飲食店が苦境に立たされています。お客様が減って売上が大きく減少したというお店も少なくありません。しかし、そんな中でも売上低迷の食い止めに挑む飲食店も存在します。今回は客単価を上げる考え方をご紹介します。

客単価をアップして売上を維持したいけどどうすればいいの?

売上は、来店したお客様の数とお客様にお支払いいただいた金額で決まります。つまり「客数を増やす」か「客単価を上げる」のどちらかに成功すれば、売上がアップするということです。

客数を増やす方法としては、キャンペーンやイベントを開催する、話題性のあるメニューを作る、SNSで情報発信をするなどの方法があります。これらの方法はリピーターを増やすだけでなく、新しいお客様を獲得する方法としても効果的です。

しかし、新型コロナウイルスへの注意喚起が叫ばれる昨今において、通常時よりも多くのお客様に訪れていただくのはかなりハードルが高い一方で、店内飲食のみで考えるとソーシャルディスタンスの確保が必要となりご案内数に限りが出てきてしまうというジレンマに陥ります。

そのため、新型コロナウイルスの影響下での売上低迷を食い止めるには一人ひとりのお客様が使う金額を大きくする、つまり客単価を上げる施策を優先的に考えるべきと言えます。

本記事では店内飲食にも活用できる対策をお伝えします

収入の柱を増やすため、テイクアウトやデリバリー、ECといった新たな施策を取り入れはじめた方も多くいらっしゃいます。本記事では「客単価アップ」に焦点を置いてご紹介しますが、店内飲食はもちろん、考え方自体は他施策にも応用できますのでご参考になさってください。

例えば、通常営業時の1日あたりのお客様が50人で、客単価が1,000円だったとします。この場合の1日の売上は

50人×1,000円=5万円

です。

しかし、新型コロナウイルスの流行によって、1日のお客様が30人に減ってしまいました。同じ客単価であれば、1日の売上は

30人×1,000円=3万円

で、2万円減少したことになります。

ではお客様が使う金額が、1,700円になったらどうでしょうか?この場合、

30人×1,700円=5万1,000円

で、新型コロナウイルスの流行前の水準に戻っています。このように、たとえお客様の数が少なくなっても、客単価が上がれば売上を維持できます。

ここではイメージをしていただきやすいよう、同水準に戻すような金額を当てはめましたが、「ドリンク1杯」「もう1品」「セット」など、ご自身のお店で実現しやすいプラスメニューを検討することで、グッと現実に近づきます。

まずは客単価をしっかり把握できるよう計算式をおさらいしてみましょう。

まずは客単価を算出してみよう

客単価を上げるには、まず自身のお店の客単価を知ることが重要です。客単価は、以下のような計算式で求められます。

客単価(円)=売上(円)÷お客様の数(人)

できればひと月分、日別で客単価を計算して、曜日別に客単価の傾向が異なるか調べることをおすすめします。テスト的に計算したい場合は、まずどこかの1日のみ、もしくはひと月合計の数値で計算してみてください。
以下では完結に説明するため、1日あたりの計算をご紹介します。

では、実際に以下のようなお店の客単価を算出してみましょう。

  • 1日の売上:16万円
  • 来店人数:40人

上記のお店を計算式にあてはめると

16万円÷40人=4,000円

で、客単価は4,000円になります。

では、もしお客様の数が同じで、客単価が500円アップして4,500円になったらどうでしょうか?この場合の売上は、客単価×お客様の数で求められます。

4,500円×40人=18万円

客単価が500円上がったことで、売上が2万円増えました。もし月あたり25日営業しているお店なら、月50万円、年間600万円売上がアップすることになります。

では、実際に客単価を上げるには、どのような手段が考えられるでしょうか?次項からはその方法についてご紹介します。

客単価を上げるには?

客単価を上げるには、主に「チャンスロス防止」「追加オプション」「値上げ」の3つの方法があります。

チャンスロス防止

1つ目はチャンスロスの防止です。チャンスロスとは「本来ならば購入につながるはずだったのに、その機会を逃してしまったために売上とならなかったこと」を言います。

例えば、居酒屋さんに入って、もう1杯飲みたいなと思っていたのに、店員さんを呼んでも来なかったので諦めた、という経験はありませんか?お店側からすると、スタッフがきちんと対応すれば売上につながるはずでした。また「とても良い素材を使っている」「滅多に食べられない」など、魅力的な商品であるにも関わらず、お客様に伝わっていなくて頼んでもらえないということもあります。これらは、典型的なチャンスロスと言えるでしょう。

チャンスロスをなくすには、接客を強化することが大切です。十分なスタッフがいないと、お客様に対応できずにチャンスロスを生んでしまいます。またメニューの知識を持ち、その魅力をしっかりと伝えられる力を持ったスタッフの育成も大切です。

なお、チャンスロスには売切れによるものもあります。そのため、食材を多く仕入れて売切れにならないようにするという方も多いでしょう。しかし、ただ食材を多く仕入れるだけの方法はおすすめできません。なぜなら、仕入れを多くした分、廃棄ロスも増える可能性があるからです。

売切れによるチャンスロスを懸念するのなら、まずはそのメニューがどのくらい売れるのかを把握しましょう。コロナ禍においては、通常時と出数が異なる可能性がありますが、売れ行きの分析はできます。売上への貢献度が低いものは一時的にでもメニューから外すなどしてできる限り仕入れを管理しやすい状態に整理しましょう。細かくデータを取って、チャンスロスと廃棄ロスのバランスがとれるような量を仕入れるのがベストです。データ分析については以下の記事も参考にしてください。

【初心者向け作業シート付】お店に貢献してるメニューは?データでしっかり分析しよう

追加オプション

追加オプションを付けるのも、客単価を上げるのに効果的です。例えば、ファストフード店に行って「ご一緒にポテトやシェイクはいかがですか?」「サイズが大きい方がお得ですよ」と勧められた経験がある方も多いと思います。単品で勧められたら買わないけど、何かと一緒なら購入しても良いかなと思いますよね。それでお得になるのなら、なおさらです。

このように関連するものをセットで販売する手法のことを「クロスセル」と言います。クロスセルはさまざまな場所で使われており、例えばスーパーで野菜の隣に鍋のもとを販売しているのもクロスセルです。飲食店なら、セットでドリンクやデザート、トッピングなどを付けることが多いですね。

クロスセルを行うなら、料理の隣におすすめのドリンクやサイドメニューを記しておくと良いでしょう。よくセットで頼まれるものはお客様が「セットで食べるとおいしい」と思っているものなので、そうしたものをまとめて記載するのがおすすめです。他にもファミレスでよく見かけるレジ前のおもちゃや商品、お店のオリジナルグッズなども追加オプションの一種です。

単品では売上につながらないものでも、セットや“ついで買い”をしやすい環境を整えることで、客単価を上げられる可能性があります。

値上げ

値上げは、客単価を上げる最もシンプルな方法です。1,000円の商品を1,200円にすれば、当然客単価は上がりますよね。 しかし、ただ値上げをするのでは、お客様は納得しません。大切なことは「お客様が納得できる値上げであるか」です。

ひとつの方法としては、メニューのリニューアルが考えられます。まったく異なるメニューの追加が難しい場合は、既存商品の食材や盛り付け、ポーションなどを変更し「パワーアップ」させて適切な価格を設定します。

既存商品を大きく変えない状態で値上げを検討したい場合は、品質が向上したことや結果的にお得になることをお客様にきちんと伝え、違和感なく納得していただくことが必要です。伝える際にも「自己都合」ではなく「お客様にとって不都合になるので」という形で伝えることが大切です。

例えば「材料費が高くなったので値上げします」と言われるよりも「材料費が高くなり、このままでは、お客様にこれまでと同じクオリティのものを提供できません。お客様には同じクオリティのものを提供したいので値上げします」と、お客様目線に立った表現のほうが納得できますよね。このように、しっかりした理由と伝え方であれば、値上げも問題なくできるでしょう。

モバイルオーダーの導入

上記3点にくわえて、効率化と客単価アップどちらにも有効な仕組みがモバイルオーダー。お客様自身のスマートフォンから注文〜会計ができるサービスです。

お客様が好きなタイミングで気軽に注文できるため、ホールが忙しい時間帯も注文を取りこぼすことなく、チャンスロスをなくすことができます。また、スタッフの注文業務の負担を減らして人件費の削減または余裕ができた時間でおもてなしに注力できるメリットがあります。コロナ禍においては口頭でのやりとりを減らすことで感染対策としても役立ちます。

またメニューレコメンド機能が付いているモバイルオーダーサービスもあり、追加オプションでの注文も期待できます。

便利なサービスも積極的に検討し、効率改善を目指しましょう。

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まとめ

新型コロナウイルスの影響下でも、客単価をアップさせることで売上低迷を食い止めることができます。とはいえ、必ずしも無理にすべての施策をスタートさせる必要はありません。大切なことは、計画を立てて実行し、結果を確認。そして、ブラッシュアップを繰り返し、お店にとってのベストを探っていくことです。できることから、着実にはじめていきましょう。

今回はここまで。

次回は「あなたのお店は何回転?回転率の計算方法と考え方」をご紹介します。