あなたのお店は何回転?回転率の計算方法と考え方

飲食店経営において、重要な経営指標のひとつが「回転率」。1つの席に1日何人のお客様が使ったのかを示す値ですので、回転率はお店の売上に直接関係しています。しかし「どのようにすれば回転率が上がるのか分からない」という人も多いのではないでしょうか。この記事では、回転数の求め方と、どのようにして回転数をアップさせるのかをご紹介します。

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コロナ禍の売上低迷を食い止めるための、客単価を上げる4つの方法

回転率とは?自分のお店の計算方法

回転率とは「席を何人の人が使ったのか」を示す値で「お客様の数÷客席数」で求められます。例えば50の席があるお店で、お客様の数が100人だった場合、100÷50=2で回転率は2となります。基本的に回転率が高いほど、多くのお客様が来店されたということになるので、その分売上は上がります。

ただし、注意しなければならないのが「客席稼働率」です。客席稼働率とは、すべての席の内、どのくらいの席が使われていたかを示す比率です。例えば、4人掛けのテーブルに4人が座っていた場合、その席の稼働率は100%です。しかし、2人しか座っていなければ、その席の稼働率は半分の50%となります。

一般的に客席稼働率は65%~70%ほどとされており、100%になることは稀です。そのため、客席稼働率を高めるには、なるべく稼働率を100%に近付けるような工夫が必要です。4人掛けのテーブルに仕切りを作るなどして、相席しやすい環境を作ったり、少ない人数の場合にはカウンターに座っていただいたりする工夫で稼働率を上げられます。

理想的な回転率とは?回転率が高い業態、低い業態

回転率は、一般的なレストランであれば、2~3回転程度と言われています。ただし、目標とする回転率は業態やコンセプトによって違います。 例えば、牛丼屋など、安くて提供が早いことをを売りにしているお店であれば、お客様1人あたりの利益が低く設定されています。利益を上げるには、回転率を上げて、できるだけ多くのお客様に来店してもらう必要があります。こういったお店では、さまざまな工夫を凝らして、お客様が速く食事を済ませて退店できるようにしています。

ちなみに「はやい、やすい、うまい」のキャッチコピーで知られる「吉野家」は、回転率を上げることを徹底しており、1日の回転率はなんと60回以上です。

一方で高級フレンチや割烹などの場合は、客単価が高く、利益も高めに設定されているため1回転でも十分な利益が出ます。またこうしたお店は、ゆっくりとくつろげることもコンセプトになっていて食事の時間も長め。コース料理の場合、1時間以上かけて食べるなんてことも多いですよね。 以下に業態別の回転率の目安をまとめてみました。

回転率 業種
1~2回 フレンチ、高級イタリアン、日本料理、割烹、居酒屋、焼肉店など
2~10回 レストラン、食堂、喫茶店、カフェ、ラーメン屋など
10回以上 牛丼屋、立ち食いそば、ファストフードなど

上記はあくまで目安のため、営業時間やお店のコンセプトによって変わってきます。自分のお店はどのようなスタイルが適しているのか考えて、ちょうど良い回転率にすることが大切です。

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回転率をあげる方法

回転率を上げるには、以下のような方法があります。

注文をスムーズに

回転率を上げるには、注文をスムーズにすることがポイントです。そのため、メニューの数を少なくしてお客様の選択肢を狭めたり、セルフで注文できるモバイルオーダーなどを導入するなどして、注文を効率的にしましょう。入店待ちのお客様がいる場合には、待っている間オーダーをとっておくことで、席についてから注文するまでの時間を省けます。

食事を出す時間を短縮する

注文を受けてから食事を出すまでの時間を短縮することも、回転率を上げることにつながります。必要な食材はある程度仕込んでおく、使いやすい器具の配置など、1秒でも早く提供するための方法を考えましょう。 また料理を素早く運ぶためには、スタッフをどこに配置するかも重要です。提供までの時間が短いと、お客様からの印象も良くなります。

居心地を良くしすぎない

カフェやレストランなどでは居心地の良さもコンセプトとなることがありますが、回転率を上げるなら、あえて居心地を良くしすぎないことも方法のひとつです。居心地が良すぎるとお客様が長居するため、回転率が下がってしまいます。

居心地を提供するなら、コンセプトに合わせて適度にすること。例えばファストフード店では、テーブルが狭く作られており、椅子もグレードが高すぎるものはあえて置かれていません。これは居心地を適度に調整することで、回転率を上げる手法です。また速いテンポのBGMにすることで、お客様の滞在時間が短くなるという実験結果もあります。

1回転でも客単価を上げる工夫を

居酒屋のような夕方から翌朝にかけて営業しているお店の場合、2回転を想定していても、思ったより人が入らず、1回転で終わってしまうことも考えられます。そのため、回転率を上げるよりも客単価を上げた方が、売上アップには効果的です。客単価を上げるためには、お客様に追加注文をしてもらったり、価格の高いメニューを選んでもらったりすることがポイントです。

追加注文をもらうには、メニュー表のデザインを見直してみましょう。例えば、ドリンクと食事のメニューが分かれていませんか?ドリンクと食事のメニューが分かれていると、お客様は一緒に頼むイメージが付きにくくなり、一緒に頼んでもらえる可能性が低くなります。ビールの隣に「ご一緒に枝豆はいかがですか?」と書くなど、一緒に頼むイメージが湧きやすいメニュー表を作りましょう。

また価格の高いメニューを頼んでもらうには、スタッフの提案力が重要です。手間をかけているこだわりのメニューであることや、期間限定で今しか食べられないことなどをお客様に上手に伝える訓練をしましょう。性別や年齢層で、違うPRの仕方をするのも効果的ですよ。

まとめ

回転率は売上に直接かかわる重要なファクターです。売上アップのために、コンセプトを壊さない程度で回転率を上げる方法を考えてみましょう。もし回転率を上げるのが難しいのであれば、客単価を上げるなど別の手段をとることもできます。まずは現在の回転率を出してみて、できることを考えてみましょう。

今回はここまで。

次回は「原価より安い?採算度外視のメニューが売上をアップさせる秘密とは?」をご紹介します。

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