FOOD-IN編集部が注目の飲食店をピックアップ! 今回は新店を続々オープンさせる「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」をご紹介。その背景には徹底された仕組み化と、熱い信念がありました。
全卓に設置したサーバーからお客様が直接注ぐスタイルの飲み放題レモンサワーのエンタメ性が大きく話題を読んでいる「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」。
同ブランドは、もともと宮城県仙台を中心に展開してきた人気ホルモン焼肉店「ときわ亭」と、飲食店運営・プロデュースを多数手がけるGOSSO株式会社がタッグを組むことで全国展開をすすめています。
取材時(2021年4月6日時点)で17店舗を展開する同店は、2021年中に50店舗、2024年には100店舗達成を目指すと発表しており、好調な伸びを見せています。
東北のホルモン文化を日本全国に発信するとともに、外食ならではのエンターテイメント性ある体験を創出する「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」の今、そして運営の秘訣を、GOSSO株式会社 執行役員 兼 CMOの金谷雅史氏に伺いました。
待ち時間ゼロでストレスフリー! ときわ亭×GOSSOが仕掛ける新時代の居酒屋とは
——「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」は、やはり卓上に設置されたサワーサーバーが特徴的ですね。導入に至った背景は?
当店が目指すのは「ストレスフリーのエンターテイメント焼肉酒場」です。
たとえば飲み放題を頼んだときや、注文をしてスタッフが来るまでの待ち時間って、積み重ねるほどストレスにつながると思っています。そういった要素を解消し、よりよい時間をお過ごしいただくべく0秒レモンサワーを採用しています。
——実際のお客様の反応はいかがですか?
0秒レモンサワー目当てにご来店いただく方がとても多くて。「SNSで見た!」「これやってみたかったんだ」といったポジティブなお声もいただけています。
サーバーって、飲食関係の仕事に携わったことがないと触れる機会がありませんよね。自分で注ぐという行為自体を楽しいと感じていただけている点では、よい顧客体験を創出できていると思っています。
——0秒レモンサワーは注文時に2種類のレモンシロップも選べますよね。
はい。現在は10種類のシロップを用意しています。バランスがよい王道の「ど真ん中レモン」をはじめ、果実感が楽しめる「つぶつぶ贅沢レモン」、ブルーの色味とすっきりした味わいが特徴の「青春レモン」、はちみつの甘みとピンク色がかわいらしい「甘酸っぱい初恋レモン」など。
——とくに「青春レモン」と「初恋レモン」は色味もインパクトがありますね。やはり、SNSとの相性も意識されていますか?
そうですね。TwitterやInstagramで話題にしていただけやすい仕掛けは常に考えています。
たとえば、青い「青春レモン」とピンクの「初恋レモン」を掛け合わせると紫色になりますよね。そこで、そのカスタムを「失恋レモン」と命名してみたり。正式なメニューではありませんので、お味は保証できかねますが(笑)。ご興味ある方はお試しください。
そんなクスッと笑えるような発信も、私たち自身も楽しみながら続けていければと思っています。
インパクトあるキャンペーンの実現に隠された、データに基づく企画開発
——話題性の観点では、「12〜17時限定 0秒レモンサワー90分間無料の“クレイジーアワー”」といったようなユニークなキャンペーンも多数打ち出していますよね。どのような背景があったのでしょうか?
クレイジーアワーは、新規顧客向けの認知獲得のためにはじめた取組でした。
緊急事態宣言発令を受け、営業時間の変更が求められたため昼営業にトライしましたが、やはり集客に苦戦しまして。くわえて、そんな状況下でもご来店してくださるお客様に感謝を伝えたい気持ちもあり、“昼飲み0円”で打ち出したところ多くの方にご来店いただけるようになりました。クレイジーアワーをきっかけにリピートしてくださる方も増え、常連様もつきましたね。
——売上にネガティブな影響はでませんでしたか?
問題ありませんでした。 キャンペーン期間前後で客単価比較もしましたが、マイナスにはならず。ドリンクが無料な分、自然とフードを多めに頼んでいただけたんです。
通常の客単価が2800円程度、レモンサワー飲み放題が90分合計で830円であることを考えると、プラス2〜3品程度ですね。
——客単価などのデータ分析をしっかりされているんですね。
もちろんです。やって終わりでは良かったのかわかりませんよね。
クレイジーアワーをはじめ、かなりチャレンジングなキャンペーンを打ち出していますが、そういった取り組みを継続するためにも、データをもとにきちっと検証して、次に活かすという体制は必須です。
既存のお客様にもよりお楽しみいただけるよう「ときわ亭って毎月なんかやってるよね」と認識いただけるようになりたいですね。
再来店を促す「楽しく」「お得な」専用アプリ
——リピーター獲得のための施策でいうと、ほかにも意識的に取り組まれていることはありますか?
ときわ亭専用アプリがあります。 来店ポイントを貯めることでお得なクーポンや特典を差し上げています。
アプリ内には会員ランクを設けていて、スタート時は「幕下レモン」からはじまり、3ポイントで金色タンブラーと塩ホルモン1皿サービスが受けられると同時に、「前頭レモン」にランクアップします。ランク名は相撲の番付をイメージしていて、関脇、大関、横綱と進むようになっています。
——3ポイント時点でもらえるプレゼント、かなり奮発されていますね。
はい。あえてそのタイミングで強めのインセンティブを設けています。
飲食業界でよく使われるマーケティング理論に「3回安定の法則」があります。これは、その名の通り「お店を3回ご利用されたお客様は、その後安定してご来店されるようになる」というものですが、実際当店でも同様のデータ実績が出てるんです。
そこで、まずは3回ご利用いただけるように仕組みづくりをしています。
ほかにも、来店回数や頻度により配信するクーポンの内容を変えたり、イベント情報を送るなどして、ときわ亭のことを忘れない、思い出していただけるきっかけとなるコンテンツ発信を行っています。
——なるほど。アプリご利用の方は増えていますか?
昨年(2020年)9月にローンチしたばかりですが、現在1.5万人ほどの方にダウンロードいただけています。
会員ランクも上位にいかれる方がどんどん増えてますね。アプリ上に表示される最上位は「横綱レモン」ですが、さらにその先に存在するシークレットランクまで到達されている方も出てきてます。かなりの早さに、私たちも正直驚いてるんです(笑)。
集客のみならず、教育や接客業務効率の改善にも着手
——すごい……集客面も総じてかなり仕組み化されているんですね。
そうですね。他社ではこういった取り組みを各店の店長がそれぞれ運用しているケースもあると思いますが、ときわ亭ではどんどん仕組み化しています。
集客だけでなく、教育面も積極的に仕組み化・マニュアル化してますね。
——具体的には?
たとえば、当店で注文率99%を誇る名物メニュー「仙台ホルモン」がありますが、こちらはスタッフが焼いて差し上げるスタイルをとっています。
スタッフ入社時に正しい焼き方のレクチャーはもちろん行いますが、いつでも振り返られるよう動画マニュアルを作って共有しています。
FC展開を進める上で一定の品質を保ち続けるためにも、仕組み化・マニュアル化は重要です。
——仕組み化でいうと、業務効率改善のためのシステム化にも取り組まれていますよね。それこそ0秒レモンサワーもその役割を果たしていると思いますが、くわえて、注文に卓上タブレットを利用されていたり。
はい。システム化して支障がない点は積極的に取り入れています。 スタッフが本来やるべき接客は、単に「注文をとること」ではなくお客様にいかにお楽しみいただける環境をつくりだすかということです。
先ほどお話した「仙台塩ホルモン」も、注文が入るとお客様とスタッフ全員で「いってらっしゃい!」とフロアを盛り上げます。それをご存じの他のテーブルのお客様が加勢していただけることもありますが、そのようなお店の一体感をお楽しみいただける空気もつくりたいなと。
動画や写真に収めると“映える”メニューを提供する際は「いまシャッターチャンスですよ!」などとお声がけもします。
また、先ほど申し上げたアプリのご案内も、注文業務をシステム化している分ホールスタッフの時間を接客に充てやすくなるため、手厚く行えます。
ときわ亭にしかできない「ストーリー」をつくり続ける
——効率改善するからこそ生まれる余裕で、おもてなしに注力されていると。
ご来店いただくだけでなく、しっかりご満足いただける、笑顔で「ありがとう、また来るね」と心から思っていただける環境を作りたいと思っています。
コロナにより飲食業界はかなりの影響を受けていますが、それでも生き残る飲食店に共通するのは、やっぱり支え続けてくれるファンの存在があります。より多くのファンを作り出すためには店頭でのコミュニケーションはもちろん、再来店につながるアプリを楽しんで積極的にご利用いただけるような仕掛けや、そのほかCRM施策が不可欠です。
かつ、経営陣や店長だけでなく、スタッフ全員になぜそれをやるのかを理解してもらうよう丁寧に伝えています。
——「なぜ」の部分を大切になさってるんですね。
弊社代表もよく言うんですが、私たちは「レモンサワーや塩ホルモンではなく、ときわ亭のストーリー、世界観をお客様にご提供している」という気持ちで運営しています。
卓上サーバーやホルモンなど、表面的な部分は他社でも模倣できてしまうかもしれません。しかし、ストーリーは簡単に真似できません。
「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」という私たちならではの“場”の提供、お客様を笑顔にするためにできることは何か。そこを徹底的に追求できればと思っています。
大躍進中の「0秒レモンサワー® 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」。その背景には、GOSSO株式会社がミッションとしても掲げているとおり、「お客様と働く仲間の「笑顔」と「ありがとう」の輪を広げる」ことに全力投球し続ける、ブレない信念がありました。
「飲食トレンド最前線」連載一覧はこちら
めまぐるしく移り変わる飲食業界。
タイムリーなトピックスや、一歩さきゆく飲食店のご紹介など、さまざまな角度から“最前線”を切り取ります。
written by
FOOD-IN編集部
FOOD-IN編集部ライターが未来の飲食店をつくるための経営ノウハウをどのメディアより”分かりやすく”をモットーにお届けします。