デジタルのフル活用×全品390円の最強コスパで話題!「焼肉の和民」快進撃の秘密を聞いてみた

FOOD-IN編集部が注目の飲食店をピックアップ!今回は居酒屋「和民」で知られるワタミ株式会社が2020年10月より既存の居酒屋店舗を焼肉店へと転換して生まれた新業態「焼肉の和民」をご紹介。オープン2年で居酒屋時代と比べ150%の来店があるという「焼肉の和民」人気の秘密に迫ります。

居酒屋「和民」が業態転換した「焼肉の和民」が人気沸騰中

焼肉の和民

2020年10月、東京大田区の大鳥居駅前に1号店をオープンさせ、現在では全国で26店舗(※2022年5月10日時点)[N1] を展開する「焼肉の和民」。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、宴会など大人数での飲食が制限される中で、従来の居酒屋店舗を転換(一部新規出店)して生まれた新業態です。

“新しい生活様式に即した飲食店”ということで、店内には料理やドリンクを運ぶ特急レーンが設置されているほか、お皿を回収してくれる配膳ロボットが通路を動き回るなど、“最新型”の焼肉屋としてSNSやYouTubeなどでも話題となっています。

今回FOOD-IN編集部は、運営会社であるワタミ株式会社の焼肉居酒屋事業本部長 執行役員 新町さんを直撃取材。「焼肉の和民」の魅力をたっぷりと伺いました!

居酒屋から“もっと気軽に!もっと楽しい!”焼肉屋へ

焼肉の和民

「焼肉の和民」誕生のきっかけは、先述の通りまさに新型コロナウイルス感染症の拡大。コロナ禍で時短営業要請や人数制限が始まり、1店舗約100席中3分の1が宴会場を占める居酒屋業態は苦戦を強いられていました。

「新たに主力事業を作る必要があると考えていました。そのとき頭に浮かんだのが、2020年5月にオープンしたばかりの焼肉業態『かみむら牧場』の売上が好調だったこと。排煙・空調設備が整った焼肉店は、コロナ禍でも人気の飲食業態です。居酒屋業態として保有する駅前型店舗の立地の強みを生かし、少人数でも安心して焼肉を食べられるお店を作ろうということで『焼肉の和民』への業態転換プロジェクトがスタートしました」と新町さんはオープンの経緯を明かします。

コンセプトは“もっと気軽に!もっと楽しく!”。

チャージや席料・お通し代はなし、でも質はしっかり担保。おひとりさまでも少量から気軽に頼めて、お肉の質・雰囲気ともに誰もが安心して楽しめるような焼肉屋を実現させました。

配膳ロボットや特急レーンの導入で接触を80%削減

焼肉の和民

「焼肉の和民」についての口コミで多く見られるのが「人との接触が少なくて良かった」という意見。「焼肉の和民」ではコロナ禍でも安心して食事を楽しんでもらえるようにと、お肉や料理、ドリンクを調理場から席まで運ぶ特急レーンと、配膳&下げ膳を行う料理配膳ロボットを導入しています。

「調理スタッフが作った料理をホールスタッフに渡すよりも、キッチンの衛生区画からそのまま料理を提供する方が、お客様の安心感に繋がると考えました。そこで回転寿司コンベア機のメーカーさんに大型運搬レーンを作ってもらい、店舗に導入しています」。(新町さん)

店内は特急レーンを直列で入れ、1〜2名用に仕切りのあるカウンター席、3〜6名用にボックス席を設置。通路は配膳ロボットが通れるように従来90cmだった幅を120cmに拡張するなど、居酒屋時代から店舗レイアウトを大幅に変更しています。

この結果「一人でも安心して利用できる」「隣の人たちの声や飛沫を気にせず焼肉に集中できる」といった評判を呼びました。

焼肉の和民

焼肉の和民の配膳ロボット

さらに国分寺南口店、川越東口クレアモール店、坂戸北口駅前店では、入口から席への誘導、お店の説明を行う案内ロボットも試験的に導入中。配膳ロボットに加え、案内ロボットも子供たちから絶大な人気を誇っています。

「フロント、レジという作業的な業務はできるだけロボットに任せていきたいと考え、現在各社とロボットの開発を進めているような状況ですね。とはいえおすすめ商品を説明したり、退店時の挨拶はスタッフが笑顔で丁寧に行うよう心がけています」。(新町さん)

接触接客は80%削減!お店にとってうれしい効果も

特急レーンや配膳ロボットの導入により、「焼肉の和民」は従来の居酒屋業態に比べ接触接客は80%削減されているのだとか。スタッフのホール業務の効率化も実現し、居酒屋業態に比べ4割程度の人員でホール業務をまかなえるようになったそうです。

「飲食店は重労働というイメージが強いですが、特急レーンを導入したことで重い料理やドリンクをたくさん運ぶといったスタッフの負担も減らせました。その結果なのか、若い方だけでなく年配の方も長期的に勤務していただけています」と新町さん。

デジタルの導入はお客様はもちろん、お店にとって嬉しい変化も見られたようです。

原価率100%超えの商品も!?全品390円以下が実現できたワケ

飲食大手・ワタミの大規模な業態転換は、オープン当初から話題を呼びましたが、さらに注目されることとなったのが2022年3月末に全品390円(税込429円)以下へと値下げしたこと。

「海外情勢の影響を受けて原材料・原油価格等が高騰を続け、値上げが続く世界的インフレ傾向の中で消費者心理は一段と冷え込んでいます。しかし、こんなときだからこそ、外食の喜び、楽しさを多くの人に届けたい。そんな想いを込め、まん延防止等重点措置が全面解除された2022年3月29日より順次全商品390円(税込429円)以下での販売に踏み切りました」(新町さん)。

焼肉の和民グランドメニュー

「コスパ最高過ぎるけど、お店は大丈夫?!」といった声も多く聞かれるほど驚愕の価格設定…!

「これは、長引くコロナ渦で減ってしまった外食の機会をもう一度取り戻したい、また“安くて美味しい和民”の復活を掲げ、今こそお客様に笑顔になっていただきたいという想いから、原価率をかけてでもお客様がお求めやすい価格設定にすることを決断しました」。(新町さん)

ちなみにメインの仕入れ元は、同社とともに合弁会社も立ち上げた鹿児島に本社を置く「カミチクグループ」。業務提携先から仕入れているからこそ、「焼肉の和民」では“和牛カルビ”をもリーズナブルに390円(税込429円)で味わうことができるのです。

和牛カルビ
和牛カルビ

「どのメニューとはお伝えできないのですが、実は原価率100%を超えている商品もあります。いまは利益よりも、多くのお客様に来店いただくことを優先していますので。とはいえ、たくさんのお客様に来店してもらうことができれば、利益は取れる体制をとっています」。(新町さん)

そんな体制と考えのもと実施されたのが全品390円(税込429円)の実施だったわけです。

そしてこの値下げの結果、客数は爆上がり!特におひとりさまの利用が増えたそうですが、たしかに、これだけ安かったら一人でも行きたくなっちゃいますよね。

実際2022年5月1日~5月8日のゴールデンウィーク期間中、客数が前年比212%を達成したという数字も発表されており、その話題性と人気の高さが顕著にみられています。

ワタミカルビ、牛タン、ハラミ、数量限定のレバーは必食!

ワタミカルビ
ワタミカルビ

新町さんが「毎日食べているほど美味しい!」と太鼓判を押すのが「ワタミカルビ」「極厚牛タン」「角切りハラミ」「国産牛極厚鮮レバー」の4商品。「ワタミカルビ」はプレートフィンガーという骨と骨の間にある非常に希少な部位、ハラミや牛タンはお店でカットし切り立てであることが大きなポイント、数量限定の「国産牛極厚鮮レバー」は高級焼肉店にも負けない質の高いレバーを使用しているのだそう。

これらは数十種類のタレを複雑に混ぜ合わせて作り上げた特製のもみダレに漬け込まれており、そのままでも美味しくいただけます。パンチの効いた特製ダレは、ビールや白米との相性が抜群なのだそうです…!

国産牛極厚鮮レバー
国産牛極厚鮮レバー

「『390円以下だから、この量でしょうがないよね』『安いしこの程度の品質なのはしょうがない』とは言われないよう、自信のあるものだけしか出していません」。(新町さん)

ワタミグループの中華業態「中華四川料理ワンズガーデン」の知見を活かしたメニューも

さらに「焼肉の和民」には「麻辣焼肉」なるメニューも! こちらはワタミグループで運営している中華業態「中華四川料理ワンズガーデン」の知見を活かし、本格的な麻辣ダレを使用したメニューです。

左:麻辣焼肉カルビ  右:麻辣焼肉ホルモン
左:麻辣焼肉カルビ 右:麻辣焼肉ホルモン

「『ワンズガーデン』の商品開発担当者が焼肉の商品開発も担当してくれていまして、『ビールに合う料理といったら四川料理だろう』ということでこのメニューが生まれました。本格的な四川の麻辣の味を再現して、お肉と一緒に食べることによって、ビールが何杯でも飲めるような味付けになっています」。(新町さん)

「和民」の知見を活かした居酒屋メニュー、ドリンクにもご注目。もちろん390円以下!

和民サラダ
和民サラダ

店名に「和民」が入ることからも伝わるとおり、居酒屋「和民」のブランドや認知度を生かして“お酒が飲める焼肉屋”というイメージをもっていただきたいという想いが込められている「焼肉の和民」。

その想いのとおり、同店では居酒屋時代に培ったおつまみメニューのノウハウを活かし、「和民サラダ」「枝豆」「ホイルでポテトめんたい焼き」など、コンロに火をつけなくても楽しめる居酒屋風のサイドメニューも豊富にラインナップされています。

焼肉の和民

もちろんドリンクも「ドラフトビール税込429円(税抜390円)」、「ハイボールが税込319円(税抜290円)」、「チューハイ税込209円(税抜190円)」ととってもリーズナブル!

ここまで低価格でアルコールが提供できるのも、ワタミが居酒屋主体の企業で飲料メーカーとの信頼関係が築けているからこそ。ちなみにドラフトビールは、外食店では珍しい糖質オフ。どうしても糖質をとりすぎてしまう焼肉屋において、糖質ビールは人気があるようです。

6月スタートの新メニューにもご注目

2022年6月22日(水)からは焼肉をはじめサイドメニュー・デザート・ご飯もののシーズナルメニューがスタートしました。原価割れ商品があるらしい?!とのことで、これはぜひチェックしてみてください……!

2022年6月22日(水)開始の新メニューはこちら

まずは100店舗を目標!焼肉で全国制覇を目指す

日本初「焼肉の和民」配膳ロボットバーチャル店員
日本初「焼肉の和民」配膳ロボットバーチャル店員

配膳ロボットや特急レーンのほか、独自開発した予約の受付システムであらゆるサイトからの予約を受けれているなど、最先端のデジタルをフル活用している「焼肉の和民」。今後は席と連動した予約システムへの改修を予定しているほか、ラストオーダー後の自動会計システムの導入やウェイティング客の案内自動化など、デジタルの活用幅を広げて、“便利”や“楽しい”を実現した新時代の焼肉店へと、さらなる進化を遂げようとしています。

居酒屋時代の150%の集客、昨対比212%と快進撃を続ける「焼肉の和民」の今後について、最後に新町さんに尋ねました。

「焼肉事業としては幸せの焼肉食べ放題『かみむら牧場』と特急レーンの『焼肉の和民』の2業態で全国制覇したいですね。駅前立地の居酒屋から『焼肉の和民』への転換だけでなく、良い物件があれば新規出店も考えています。 業態としては400〜500店舗のマーケットが十分にあると認識してますので、世の中の回復を見ながらですが、まずは国内100店舗を目指して、1店舗1店舗立ち上げていきたいと考えています」。(新町さん)

更なる進化が楽しみな「焼肉の和民」に、今後もご期待あれ!

(ライター/中森りほ 編集/ヒャクマンボルト+Showcase Gig)