老舗焼肉グループ平城苑が超進化中?! 和牛バーガーに食べ放題…牛一頭買いの強み炸裂

FOOD-IN編集部が注目の飲食店をピックアップ!今回は1970年の創業以来、関東を中心に33店舗展開している焼肉グループ「平城苑」をご紹介します。今年で創業51年目を迎えた同社は、和牛一頭買いの強みを活かした新業態を続々展開中。100年企業を目指す老舗焼肉グループの新たな挑戦に迫ります。

焼肉 平城苑が“超”進化中。こだわりの「一頭買い」体制

老舗焼肉チェーンの平城苑がいま、2020年11月に「和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁」、2021年4月には「Wagyu Burger(ワギュウバーガー)」と新業態を続々オープンさせています。

平城苑は今年(2021年)で創業51年目を迎える焼肉ブランド。

平城苑 本館 浅草雷門店
平城苑 本館 浅草雷門店

「平城苑 本館 浅草雷門店」。最も平城苑らしさを象徴する店舗。働いているスタッフや食材は、同社でもハイクラスとされています。

最大の特徴は、なんといっても全国の有名産地から⿊⽑和⽜・国産⽜を⼀頭買いし熟成・加工まで自社で行い提供している点。豊かで奥深い旨み、とろける口溶けの肉が⾷通を唸らせ続けています。

全国の有名産地から取り寄せているA5ランクの黒毛和牛
全国の有名産地から取り寄せているA5ランクの黒毛和牛

平城苑にはキムチ専門の職人(!)もいるそうで、隠れた逸品とファンから愛され続けています。
平城苑にはキムチ専門の職人(!)もいるそうで、隠れた逸品とファンから愛され続けています。

おいしさを極める平城苑、どこを切り取ってもこだわりが詰まっています。

「平城苑ではピーク時には、毎月約50頭という数の和牛を買い付け、自社工場で加工を行っています。仕入れから流通まで自社で一元管理することで、中間コストを削減し、安定した価格を実現しています。買い付ける和牛は、すべて和牛A5ランクというのも平城苑のこだわり。産地や銘柄ではなく等級を指定することで、安定した品質と美味しさを確保しています」

そう説明してくださったのは商品開発部・ブランドマネージャーの宮田真介さん。今回は和牛の魅力を最大限伝えていくお店作りに携わる宮田さんに、平城苑の最新の取り組みとそこにある想い、これから目指していきたい姿について伺いました。

新業態開発・メニュー開発を担当する宮田真介さん
新業態開発・メニュー開発を担当する宮田真介さん

注目の新業態は「和牛バーガー」と「食べ放題」

そんな平城苑が新たにスタートさせた新業態は、ハンバーガーの「Wagyu Burger」と食べ放題の「和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁」の2つで、どちらも平城苑の強みを最大限に活かしたものとなっています。

4月10日にOPENした「Wagyu Burger」
4月10日にOPENした「Wagyu Burger」

Wagyu Burgerは、焼肉では扱いづらく活用が難しかった部位をバーガーのパテとして生まれ変わらせることで、品質だけでなくサステナブル(持続可能)なブランド運営も実現。

「和牛100%で仕上げる今までに食べたことのないハンバーガー」をコンセプトに、A5和牛100%無添加パティと自家製A5和牛ベーコン、メゾンカイザー特注バンズが使われています。

冒頭でお話ししたとおり牛肉のクオリティは信頼度バツグン。そこに加えて、世界20ヶ国以上で店舗展開する世界的なブーランジェリーであるメゾンカイザーが掛け合わされるなんて、贅沢の極みですね……!

THE和牛バーガー
THE和牛バーガー

そして、他では味わえないポイントとなるのが自家製A5和牛ベーコン。お店で7日間もかけて仕上げるというベーコンは、その深みある味わいが特徴です。ここまで和牛かつ自家製でそろえたバーガーには、なかなかお目にかかれません。

さらに、ソースにはきのこの旨みがぎゅっとつまったデュクセルソースに、平城苑秘伝の焼肉のたれを忍ばせるというこだわりっぷりです。

「WagyuBurgerは、ファーストフードのハンバーガーではなく、ステーキのような『和牛料理』という位置付けのバーガーを目指しました。品質はもちろん、食事として満足感を追求したバーガーはどれもボリューム満点に仕上げています」(宮田さん)

バーガー全体の組み立てについてもベストなバランスを研究したと宮田さんは言います。持った時のずしっと感に驚かれるお客様も多いそうで、食事としての満足度もかなり高い、食べ応えバツグンの逸品です。

和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁
和牛放題の殿堂 秋葉原 肉屋横丁

一方、肉屋横丁は「和牛食べ放題 精肉対面販売焼肉店」と「和牛しゃぶしゃぶオーダーバイキング店」の2つのエリアで構成。いずれも100分制(ラストオーダー80分)となっているお店ですが、一頭買い体制ならではの、焼肉食べ放題ではなかなかお目にかかれない希少部位も楽しめることが人気の一因となっています。

「肉屋横丁は、お店単位で『和牛一頭分を使い切る』ということをコンセプトにしています。希少部位の提供はもちろん、これまで焼肉としては扱いづらかった首やすね肉を薄く加工してサラダにしていたり、骨や腱などを使ったブイヨンをスープのベースに使っています。フードロス削減にも繋がりますし、なによりお客様に『すべて和牛』をたっぷり堪能していただけることが最大の魅力です」(宮田さん)

仕入れ状況によりラインナップは変動しますが、メニューにはカルビやハラミなどの定番だけでなく、「絶品和牛テール塩焼き」「厚切りタン」「マンゴーカットカルビ」など、ネーミングからしても魅力的なメニューが盛りだくさん。

「その日にしか入ってこない希少部位との“めぐり合い”もお楽しみいただければ。メニューをひとつご紹介すると、「和牛マンゴーカットカルビ」は当日に店舗内のキッチンでこまかく切り込みを入れています。この仕込みがなかなか大変なのですが(笑)、品質には妥協できませんので職人が丹精込めてお作りしています」(宮田さん)

和牛マンゴーカットカルビ
和牛マンゴーカットカルビ

商品クオリティだけじゃない。考え抜かれた運営スタイル

さらに注目したいのが、味のクオリティのみにとどまらない店舗運営の体制です。

コレド室町テラスに出店されているWagyu Burgerは、イートイン・テイクアウトどちらも選択できます。

Wagyu Burger内観
Wagyu Burger内観

「オフィスワーカーのテイクアウト需要に応えるため、オープンにあわせてモバイルオーダーを導入しました。細部までこだわりぬいているバーガーだからこそ、提供には少々お時間をいただいているのですが、モバイルオーダーをご利用いただくことで、店内でお待たせすることなく出来立てのハンバーガーをお楽しみいただけます」(宮田さん)

スムーズな受け取りが可能なだけでなく、非接触で安心安全に注文できるというのも魅力的なポイントです。

肉屋横丁 ショーケース

肉屋横丁は、店入り口付近にあるショーケースからお客様自身が好きな部位を選び、スタッフにオーダーを伝えるスタイル。オーダー方法としてはかなり珍しいですね。ショーケースにずらりと並ぶ肉を実際にみてから選ぶという行為自体がエンタメ性を高めています。

また、「惣菜配り歩き」も実施されており、一定の時間おきに揚げたてのコロッケなどがたっぷり入った桶を持つスタッフが店内を配り歩きます。これは店名にもある“横丁”スタイルが意識されていて、食べ歩き感覚を表現しているんだとか。

肉屋横丁 配り歩き

こちらもエンタメ性はもちろんのこと、常にできたてを提供できることでおいしさも保つことができ、置きっぱなしで並べておくことと比べても衛生面でも安心。かつ、注文の都度スタッフが呼び出される必要がないため、業務効率の観点から見てもプラスになりそうです。

平城苑 メニュー

「平城苑の原価率は店舗によりますが35~40%くらいと、利益を優先するよりもお客様に質の良い『和牛を楽しんでいただきたい』という強い想いが込められています。

また、平城苑では各店舗に専門的な技術を持った職人を配置しており、部位ごとの特徴に合わせたカッティングや保存方法で、最高の和牛を最適な状態でお客様にお届けすることを長年こだわり続けています。」(宮田さん)

『和牛』業界のリード企業として、100年企業を目指す。

2つの新業態を見ると、平城苑がこれからの時代にマッチした店舗運営を見据えていることが感じ取れます。

平城苑50周年

「創業50年を迎えた平城苑は、今後100年企業を目指していきます。

フードロスへの取り組みも積極的に行なっていくべく、これからは「Wagyu Burger」や「肉屋横丁」のような、新しい業態へのチャレンジを進めていきたいです。たとえば、ホルモン専門店など、一頭買いだからこそ仕入れられる希少部位を活かした業態を現在計画中です。

50年続けてきた平城苑最大の強み、和牛一頭買いのスタイルは継続しつつ、よりそのメリットをお客様へ還元し、『和牛』のすべてを存分に楽しんでいただけるお店を作り上げていきます。

和牛あっての平城苑なので、近年飼育コストの高まりや高齢化などの課題を抱える和牛生産者さまにもしっかり寄り添い、和牛の素晴らしさを世界中の人々に伝えていくことを使命として、存在し続けていきます。」(宮田さん)

平城苑牛オブジェ

そんな平城苑では現在、開業から25年経過した浅草店をブランドの軸となる総本店として改装中。平城苑のこれまでの歩みや目指す姿を示す内外装で7月中旬にリニューアルオープンします。他店舗の改装も順次進めていくとのことで、今後見た目も中身もより進化した平城苑を楽しめそうです..!

創業100年に向けて「変わらない、揺るがない、平城苑品質」はそのままに、表現手法を常にアップデートさせる平城苑。これから先もどんなカタチで『和牛』を魅せるのか、期待が高まります。

祝再開!Wagyu Burger

緊急事態宣言を受け一時営業をおやすみしていたWagyu Burgerですが、2021年6月1日より再開しています。平城苑ならではの表現がつまった「THE 和牛バーガー」。テイクアウトもできますので、お近くの方はぜひご賞味ください。

Wagyu Burger

〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-2-1 COREDO室町テラス 1F

11:00-23:00(22:00L.O.)不定休

03-6665-6929

※営業時間は状況により変動があります。詳しくは平城苑公式HPをご確認ください。

「飲食トレンド最前線」連載一覧はこちら

めまぐるしく移り変わる飲食業界。
タイムリーなトピックスや、一歩さきゆく飲食店のご紹介など、さまざまな角度から“最前線”を切り取ります。

written by

FOOD-IN編集部

FOOD-IN編集部ライターが未来の飲食店をつくるための経営ノウハウをどのメディアより”分かりやすく”をモットーにお届けします。