飲食店でも取り入れたい「パーソナライズ」って?何から始めるべき?

マーケティングと聞くと身構えてしまいますが、商品が売れる仕組みを作ることを指します。本連載ではマーケティングの代表的な法則や考え方をご紹介。すぐに活かせるものから、周りに教えたくなるようなものまで幅広くピックアップします。今回は「パーソナライズ(パーソナライゼーション)」についてです。

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お客様の離れを5%改善=利益は25%アップするってほんと?(5:25の法則)

パーソナライズとは

接客

パーソナライズ(パーソナライゼーション)とは、お客様一人ひとりの属性や趣味、行動に合わせて発信する情報やサービスを変化させることを指します。飲食店なら、特定のお客様の好みに合わせたメニューを作ったり、お誕生日に特別なサービスを行ったりすることがパーソナライズの第一歩と言えます。そうしたことによって、狙ったメニューを頼んでもらえたり、リピーターを増やせた経験を持つお店もあるのではないでしょうか。

パーソナライズとカスタマイズの違い

パーソナライズと似たものに「カスタマイズ」がありますが、カスタマイズはお客様自ら情報やサービスを選び取るのに対し、パーソナライズではサービスを提供する側がお客様に合わせたものを自主的に提供します。 たとえば、店頭で具を自由に選べるサラダ専門店は「カスタマイズ」にあたります。テイクアウトアプリで「注文履歴からのおすすめ」のように、お客様により異なる結果を表示させているものは「パーソナライズ 」にあたると言えます。

大手企業での活用例

ファストフードチェーンであるマクドナルド社では、パーソナライズを使った運営を実験的に始めています。

同社では、2019年3月からAIを使ったシステムを導入。ドライブスルーを利用するお客様に対して、人気商品やその日の天候、気温、店舗の情報などの情報をもとに、お客様個々に合わせたメニューを提案しています。選びやすくなることで、注文時間の短縮にもつながり、お客様の体験としても快適で、お店にとっても混雑解消をはかれます。 このシステムでは、将来的には車のナンバープレートでお客様を判別して提案することを目指しているそうです。

このように、大手企業では独自のシステム開発により、次世代の店舗運営をスタートさせています。自分のお店で取り入れていくにはどのような選択肢があるのでしょうか?それを考えるには、まず「パーソナライズの目的」から向き合ってみましょう。

なんでパーソナライズ化する必要があるの?

パーソナライズ化をする理由は、お客様の選択肢が増えて、より「個」に合わせたサービス提供が必要とされているためです。

以前は、情報発信をする場といえばテレビや雑誌、新聞が一般的でしたが、いまではインターネットの活用があたりまえになりました。

宣伝の手法も多様化したため、企業側も低予算でのアピールがしやすい環境になった一方で、お客様がさまざまな飲食店を発見しやすくなり「ここに行きたいな」と思う選択肢も増えました。ということは、「まず自分のお店を知ってもらう」ハードルが下がった一方で、「また来てもらう」にはどうすればよいかという課題にこれまで以上に向き合う必要が出てきたとも言えます。

「快適さ」をアピール

初回利用してもらうだけでなく、再利用・定期的な利用につなげるためには「このお店なら自分の好みを理解してくれる」「やりとりがスムーズでストレスがない」「良いタイミングで思い出させてくれる連絡が来る」などといった快適さを印象づけることが大切です。パーソナライズは、このような快適さをアピールするための手段のひとつです。

飲食店でイメージしやすいところを例にあげると、お客様に合ったおすすめメニューやキャンペーン情報の提供、クーポンの発行を行うことが考えられます。学生向けのクーポンや、お誕生月のプレゼントなどにトライしたことがあるお店も多いのではないでしょうか。

ITサービスの導入

ただ、お客様情報なしにこれらの施策を継続、強化するには限度がありますし、お客様全員の情報を手動で管理するわけにもいきません。

IT

そこで、お店のオペレーションと連動させやすいITサービスを導入して、お客様情報の管理からこういった情報をサッと取り出せるような体制に改善することで、取りこぼしなく「あなたのためのサービスです」とお客様に捉えていただける=パーソナライズの仕組みをつくりだすことができます。

もう一歩すすめた例をあげます。たとえば、お店のメニューにアレルゲン情報を含む原材料をデータとしてもっておけば、メニューにアレルゲン表示ができたり、特定の食材(海老、牛肉など)をよく頼む方へ「こちらもお好きではありませんか?」と促せると特別感が増します。さらに、お客様の情報も蓄積しておけば、対応するスタッフ自身が知らない、もしくは覚えていなくても「今日予約された〇〇さんは〇〇回目のご来店(=常連さん)です」「今月誕生日です」といった把握ができ、属人的なおもてなしの差をなくせます。

マクドナルドのように自社独自でのシステム開発は難しいとしても、そのようなデータ活用の仕組みを取り入れているITサービスを活用すれば実現できる時代になってきました。

実は進んでいるパーソナライズの流れ

ここで、実は身近なところでも使われているパーソナライズの例をあげます。

Googleの検索機能

最も身近なパーソナライズは、Googleの検索機能ではないでしょうか。実はGoogleで同じキーワードを検索しても、人によって出てくる検索結果は違います。これは、Googleがこれまでの検索履歴や位置情報などから、その人に最適な情報がすぐに見つかるようにしているためです。 ちなみにInstagramなどのSNSも同様で、その人が取る日頃のアクション(いいね!やコメントなど)や各フォロワーとの交流頻度により、人によって表示が変わります。

Amazonの「おすすめ商品」

Amazonなどの通販サイトで買い物をしているとき「あなたにおすすめの商品」などが表示されることがあります。これは閲覧や購入した商品の情報をもとに、その人が興味を持ちそうな商品を見せるパーソナライズのひとつです。 売る側にとっては「売れる確率が上がる」、買う側にとっては「好みの商品を見つけやすい」メリットがあります。

では、飲食業界にかかわるシステムではどのようなものがあるのでしょうか?

モバイルオーダー

モバイルオーダー

店内飲食向けモバイルオーダーサービスの「O:der Table(オーダーテーブル)」を例にあげます。これは、スマートフォンから注文、会計ができるShowcase Gig社提供のシステムです。

「O:der Table」では、注文と会計ができるだけでなく、誰がいつ、何を、どれだけ注文したかを記録できます。これらを活用することによって、注文履歴からリピーターの好みに合わせたレコメンドを行ったり、再来店を促すメッセージの配信もできます。

こういったITサービスは、現時点で機能がないものであってもさまざまな飲食店での活用実績や要望をもとに、より便利になるような開発が日々進められています。また、「データをためられるのはわかるけど、具体的にどう活用すべきかわからない」といった相談も専門チームやカスタマーサポートと会話できるサービスを取り入れれば、お店独自で作り上げるよりも客観的な意見を反映できて安心です。

時代の流れをキャッチアップしよう

お客様それぞれに応じたサービスを展開するパーソナライズは、すでにビジネスの世界では当たり前になりつつあります。まずは最新の情報を知り、自分のお店に取り入れられることがなにかを把握しましょう。FOOD-INでは今後も最新トレンドを紹介していきます。ぜひ参考にしてください。

次回は「売上の8割は2割のお客様がつくる?(パレートの法則)」を紹介します。