飲食店には欠かせない写真撮影。大規模なリニューアルの際はプロに頼む場合も多いかもしれませんが、最近はSNSやGoogleマイビジネスなど、ひんぱんに更新したい場所も増えています。「スマホで完結させたいけど、なんだか納得いく写真に仕上がらない……」そんなお悩みを抱えている方も多いのでは。本連載では、スマートフォンで見栄えの良い写真をとるためのコツをご紹介します。第9回は、スマートフォンでもできる、プロっぽさを演出するための撮影ポイントです。
第8回はこちら
プロっぽく撮影するためにおさえる3ポイント
きれいに写真は撮れたけど、いまいち何かが足りない……そんな時はプロもよく活用するテクニックを取り入れてみましょう。
本記事では、料理写真を「プロっぽく」仕上げるための3つのポイントを紹介します。
1)箸上げ(はしあげ)を行う
ひとつめのポイントは“箸上げ”。料理単体ではない「動き」を出すことで、美味しさを表現できます。
ラーメンを例に紹介をします。こちらが基本をきちんと守った写真です。
きれいには撮れていますが、用途によってはややもの足りなく感じるかもしれません。
そこでチャレンジしていただきたいのが「箸上げ」。具体的には、麺を箸でもちながら撮影します。
すると麺やスープに動きが生まれるため、見る方により美味しそうと思っていただける写真になります。 なお、箸上げ撮影をひとりで完結させようとすると難易度が上がりますので、箸上げと撮影者、2人体制で行うことをおすすめします。
箸上げはラーメンだけでなく、パスタやカレーなど、広いジャンルの料理にでも応用できます。
箸で持つ麺が絡まないように
麺類の場合、なるべく一本一本ていねいに箸やフォークにかけることを意識することで、よりクオリティ高く仕上がります。
2)シズル感を出す
「美味しそう!」と思っていただける料理写真に仕上げるために意識したいのが「シズル感」です。
シズル感とは…
料理のみずみずしさや水滴を表す言葉。ジューシーさや照りなども含まれます。
まず、こちらの写真をご覧ください。
箸上げはもちろんですが、うなぎそのものに注目してみてください。うなぎのタレに光がキラキラと反射して、美味しそうに見えませんか? この“光”部分が、シズル感を表現するポイントとなります。
光をうまく反射させるには、以下を意識します。
水分・油分を足す
料理ができあがってから少し時間が経ってしまうと、料理の表面が乾燥してシズル感を表現しづらくなります。そんなときは、撮影前に油分や水分を追加しましょう。
肉類など油分があるものは上からハケで油を塗る、サラダなどフレッシュさを表現したいものには霧吹きで水をかけるなど、料理の特徴にあった方法でシズル感を作ってください。
ただし、足しすぎると違和感の原因に。慣れないうちは一気にせずに、少しずつ調整と撮影を繰り返して、ちょうどよい加減を研究すると良いでしょう。
光源を増やす
シズル感のもとになっているのはライト(光源)です。光源が少ないとシズル感はでにくく、また弱いと光がはっきりせずぼやっとした写真になってしまいます。
そんな時はより明るい場所に移動する、手持ちのライトがある場合は持ってきて料理に当てましょう。
3)料理以外へ目を向ける
写真の主役はもちろん料理ですが、それ以外の「写真におさまる要素」にもぜひ気配りを。以下の写真をご覧ください。
料理自体は美味しそうですが、写真には余白が多く、少し寂しい印象を受けます。
上記の写真ではお皿ひとつのみですが、実際の食事をイメージしやすいものを配置することで臨場感が出て、写真としての魅力が高まります。
同じく肉じゃがで考えてみます。 食べるために必要なものは、箸、取皿、お茶碗が考えられます。周りに配置してみましょう。
余白をなくすよう配置していくと、写真の雰囲気が高まり、より肉じゃがが際立ちます。
他の例を見てみましょう。
こちらのカレーの後ろには、にんじんやトマトなどが配置されています。このように、料理に使われている具材を配置することも有効です。
ただし、配置する食材はあくまで引き立て役であることを忘れずに。目立ちすぎると主役の料理の存在感が薄れてしまうため、見切れる程度を意識するとバランスがとりやすくなります。
主役の料理に関係あるもので雰囲気を高める
周りに置く食器や小物は、中心となる料理に関するもの、料理を食べる際に使用するもの、ということを意識して配置。無関係なものは取り除くようにしましょう。
第9回はここまで。次回は「店外(外観)・店内(内観/内装)の撮影方法」をご紹介します。
【連載】スマホで完結!おいしい写真の教科書
第6回 焼肉編:業態別飲食店のメニュー撮影のコツと注意点
第7回 カフェ編:業態別飲食店のメニュー撮影のコツと注意点
第8回 飲食店向けインスタ映え写真に対応したメニューの取り組み方