FOOD-IN編集部が注目の飲食店をピックアップ! 今回ご紹介するのは焼鳥どん。オーナーの日垣さんはなんとフォロワー15万人を誇るTikTokerの顔を持ちます。お店の看板メニュー「鶏もも煮込み」はなんと年間4万食を売り上げる人気ぶり…?! くわしくお話を伺いました。
焼鳥屋オーナー兼TikToker!15万フォロワーオーバーの日垣さんとは?
TikTokは、世界で7億人近い利用者を誇る人気動画プラットフォーム。日本国内でも若年層を中心に、約950万人に利用されています。
マネしたくなるダンスや共感を呼ぶ“あるある”ネタなど、工夫をこらしたムービーが多く投稿されるTikTok。無名のアカウントでもバズりやすい仕組みが取り入れられているため、誰でも有名になれるチャンスがあることで知られます。近ごろは、TikTokでの発信をきっかけにスターへの階段を駆け上がったユーザーも見かけるようになりました。
そんなTikTokでいま話題を集めるアカウントが。その名も「焼鳥どん日垣兄弟(@higakiyakitori)」……その正体はなんと焼鳥屋オーナーでもある日垣さん。飲食店でのひとコマを切り取った投稿を毎日更新しています。
@higakiyakitori ♬ オリジナル楽曲 - 焼鳥どん【公式】 - 焼鳥どん日垣兄弟
日垣さんご本人にお話を伺ったところ、「2020年にコロナの影響で営業できなくなったことをきっかけに、今後事態がおさまって再開するときに向け、宣伝を強化すべくはじめました。くわえて、不安を抱えるスタッフにも笑ってほしいという思いもありました」。
さらに「TikTokは日本でスタートしてからまだ3年ほどの新しいプラットフォームです。くわえて、フォロワーがいない状態でも500再生程度はされる仕組みだと聞いて、自分も入り込める余地があるのではと考えました」とつづける日垣さん。
いまでは街を歩くと声をかけられるほどの認知度を得たと言います。
「現在店舗は休業中なので、フォロワー数が増えてから営業できた日数は数十日程度ですが、少なくとも開店している期間は確実に全店舗満席でした。居酒屋業態では珍しく、月曜日でも並ぶお客様が出るほどのインパクトも。体感値ではTikTokをはじめる前の1.5倍ほどの方にいらしていただけていると思います」
TikTokやYouTubeなど、自らが手がけるコンテンツ以外、集客に関する広告費は一切使っていないそう。
「特にうれしい点が、地元の人からの認知度が上がったことです。「こんなお店あったんだ!」と気づいてくれて。近くにいても、意外と入ったことがないお店ってありますよね。そんな方々に知ってもらえるのはありがたいです。もちろん遠くからわざわざ足を運んでもらえることもあり、そちらも驚きと感謝でいっぱいです」
こんなお店、地元にあったら通いまくる…! 味×コスパを兼ね備える「焼鳥どん」
そんな日垣さんが営む「焼鳥どん」は、東京の荻窪・駒込・西巣鴨に3店舗を構える焼鳥屋。「外食する幸せ」を心から感じてもらえるお店を目指すという同店は、本格炭火焼き焼鳥が1本なんと89円均一で提供されています。
看板メニューは、鶏もも肉丸々一枚を使用した鶏煮込み。肉本来のうまみを引き出すために半日かけてじっくり仕込むこだわりの逸品で、なんと年間4万食も売り上げる大人気メニューです。肉質が柔らかくてマイルドな味わいが特徴の、飼育期間60日以内で出荷される国産鶏が使われています。
また、鶏煮込みはオンラインでの販売も行われています。
筆者も早速お取り寄せしてみたところ、ほろっほろの鶏と濃厚なスープがたまらない逸品でした…!そのヒケツは、12キロの鶏もも肉をたった1.5リットルの水で煮込み、旨味を凝縮しているところにあります。お酒、白米、麺にもマッチするので、おうちごはんが捗ります。しかもレンジで温めるだけという簡単調理です。
日垣さんによると、現在月600セットほどの注文が入っているそう。広告を使わずにこの数値。TikTokの集客力ももちろんですが、おいしくなければリピートされません。焼鳥どんの実力あってこその販売実績です。
TikTokやYouTubeを活用した集客
TikTokをはじめる前からYouTubeにはチャレンジしていたものの、なかなか再生数が増えず、一時期はやめようと思ったこともあるという日垣さん。
「TikTokを始める際「秒数をコンパクトにまとめた【飲食店あるある】」というひとつのフォーマットにしぼって投稿を続けたところ、たくさんの方に見ていただけるようになったんです。今ではYouTubeのショート動画、Instagramのリールでも同じフォーマットで更新しています」
YouTubeショート&Instagramリールとは
YouTubeのショート動画とは、スマートフォンと YouTube アプリの「YouTube ショートカメラ」があれば誰でも作成できるもの。15〜60秒までの短い動画を作成・公開できます。
Instagramのリールも短尺動画を共有できる比較的あたらしい機能で、15〜30秒に対応。動画にはスタンプやペイント、音楽などを手軽に追加できる点も好評です。
関連記事:Instagramに何を投稿したらいいかわからない?飲食店向け基本ご紹介
「やみくもにいろんな投稿をするよりも、ぼくであれば【飲食店あるある】のように、決めたフォーマットにしたがって、継続して投稿し続けることがポイントかなと思っています。ひとつの動画制作にかかる時間もぼくの場合は10〜20分程度でできていて、負担もそこまでかかりません」
日垣さんの場合、投稿は毎日(!)。情報発信するうえで「継続すること」がいかに大切かが見て取れます。
「やってみて気づいたのが、いわゆる“SNS映え”が難しい居酒屋業態では、メニューをアップしても拡散されるのはまれ。それよりも「人」にスポットライトを当てることで「あの人に会いに行きたい」と思っていただけるような表現が向いていると思いました。お店側のキャラクターもありますので、一概には言えませんが」
@higakiyakitori ##飲食店あるある ##居酒屋あるある ##バイトあるある ##あるあるネタ
♬ オリジナル楽曲 - 焼鳥どん日垣兄弟
今では「日垣さんに会いたいです」という連絡が、DMなどでもの凄い数がくるそう。年齢層では20〜40歳代と、比較的幅広い層からの反応を得られています。
日垣さん、そして焼鳥どんが目指す先
この先の展開について伺うと、「TikTokはもちろんこれからも、楽しみながら精一杯つづけますが、あくまで本業は「焼鳥どん」。現在は、 荻窪店 · 駒込店 · 西巣鴨店と地域密着型での運営をしていますが、今後はさらに情報発信を強化して、パワーアップした新店も出したいですね」と語ってくれた日垣さん。
逆境をチャンスに変える、力強い姿勢、そしてTikTokをはじめとする情報発信も「楽しく」という表現を多く使われていた点も印象的でした。
お店でも掲げている「外食する幸せ」をさまざまなかたちで届けてくれる日垣さんと焼鳥どん。営業再開目処は、国の方針ふまえ検討中とのことです。鶏煮込みのオンライン注文を味わいつつ、復活の日を楽しみに待ちましょう!
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