飲食店における重要な経営指標、人時売上高(にんじうりあげだか)って何?

飲食店の経営は、ただ売上高が高ければ良いというものではありません。売上高と併せて「お客様に適切なサービスを提供するためのスタッフが足りているか」「スタッフ1人の生産性を上げられるか」に注目しましょう。これらを適切にすることで、お店はより健全な経営を行うことができます。そのための指標となるのが「人時売上高」です。この記事では、飲食店での経営指標となる人時売上高について解説します。

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人時売上高とは?

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人時売上高(にんじうりあげだか)とは、スタッフ1人が1時間働くことでどのくらいの「売上」があったかを示すものです。お店の経営状況を見るひとつの指標として重要視されています。

人時生産性との違い

人時売上高と似たものに「人時生産性」というものがありますが、こちらはスタッフ1人が1時間働くことでどのくらいの「利益」があったかを示します。人時生産性はお店そのものの生産性の把握、人時売上高はそのお店の業界内での生産性を比較する際に役立つ指標です。

人時売上高はお店の生産性を上げる目標値となる上、シフトを組むための指標ともなる

自身のお店の人時売上高を把握し、なるべく理想値に近付けることが大切です。

人時売上高の計算方法

まずは、現状自身のお店がどのくらいの人時売上高なのかを計算してみましょう。人時売上高は、下記のような計算式で求められます。

人時売上高=売上高÷総労働時間

例えば、売上高が100万円のお店で、スタッフすべての総労働時間が200時間だった場合、人時売上高は、100万円÷200時間=5,000円となります。 では、具体的に下記のような2店を比較してみましょう。

【A店】 売上高:100万円 総労働時間:200時間

【B店】 売上高:300万円 総労働時間:800時間

A店の人時売上高は、100万円÷200時間=5000円となります。一方、B店の人時売上高は、300万円÷800時間=3,750円です。売上高だけを見れば、B店の方が優秀に見えますが、人時売上高を求めると、A店の方がはるかに生産性が高いことが分かります。

人時売上高を把握することは、より正確な経営状態を把握することに繋がる!

ではお店の人時売上高が低いと分かった場合、どのように上げていけばよいのでしょうか。

人時売上高を上げる方法

人時売上高を上げるためには、

  • 売上を上げる
  • 人件費を削減する

上記どちらかを行う必要があります。そのためには具体的に「目標を設定する」「教育を効率化する」「無駄な時間を減らす」の3つの方法があります。

1. 目標を設定する

目標

売上を上げて人時売上高を上げるためには人時売上高の目標を設定し、それを達成するための行動をスタッフに促すことが大切です。

例えば..

「昨日は人時売上高が3,000円だったので、今日は3,600円を目指しましょう」という目標を立てたとします。この場合、スタッフにも「あと10分で1時間経つな。残り500円の売上を達成しないと」などの明確な目標が生まれます。500円程度であれば、ドリンクの注文が1つ~2つ入れば達成できる目標です。そのためお客様に「追加のドリンクはいかがですか?」と一声かけて注文を取ろうという意識が働きます。

スタッフにただ漠然と働いてもらうのではなく、明確な目標を持って働いてもらうことが大切!

2. 教育を効率化する

人時売上高は、一般的に新人スタッフが入ることで下がります。なぜなら、新人スタッフはまだ仕事に慣れておらず生産性が低い上、教育を担当するスタッフの売上も落ちるためです。そのため、新人スタッフの教育はなるべく効率的に行いましょう。 マニュアル作成

例えば..

教育を効率化する方法としては、マニュアルの作成があります。教育用のマニュアルを用意しておき、それに沿って仕事をしてもらうという方法です。最初にマニュアルを読み込んでもらい、マニュアルだけでは分からないことや教えられないことを実際の現場で先輩スタッフが教えるという流れが良いでしょう。うまくいかなかった場合や新人スタッフの不安も考慮して、コミュニケーションが取りやすい現場にしておくことも大切です。

3. シフトを見直す

無駄な時間や残業を減らすことで総労働時間を下げられるため人件費を削減することは人時売上高を上げることに繋がります。 飲食店の場合、ランチタイムやディナーなどは忙しく、それ以外はお客様がほとんどこないことも珍しくありません。忙しい時間帯に人件費を使い、暇な時間帯は人件費を削れているかどうか、シフトを見直しましょう。

代わりになる配慮を行うことも一手段

スタッフのことを想うと人件費を削り辛いな..という方は、代わりに「忙しい時間帯は高めの時給にする」「目標を達成したらボーナスを出す」などの配慮を行うことも一つの手段です。

人時売上高はただ高ければ良いというわけではない

ここまで人時売上高を高める方法を3つご紹介しましたが、人時売上高はただ高ければ良いというわけではありません。人時売上高が高い、つまりスタッフ1人あたりの生産性が高いということは、その分スタッフ1人に負担がかかっているということを意味するからです。この負担がかかりすぎると、お客様がいても対応できない、料理の提供が遅れるなど、サービスの質が落ちる可能性があります。こうしたお店は評判を落とし、お客様の足が遠のいてしまいます。

経営者がすべきことは?

経営者がすべきことは、人時売上高を高く保ちながらもサービスの質を落とさないことです。また、人時売上高の目標指数は一般的に4000円~6000円とされていますが、それはあくまで目安であり、業態や立地にもよります。サービスの質を維持できる人数を考慮しながら、売上の向上とシフトの見直しに取り組み、お店にとって最適な人時売上高を見つけましょう。

IT導入でも人時売上高を上げる

サービスを変えずに人員を削減し、人時売上高を高めたいという方にはIT導入もおすすめです。お客様自身のスマートフォンで注文から決済まで完結できる店内向けモバイル・テーブルオーダー®サービス「O:der Table」を例に見てみましょう。オーダー業務を軽減することで人件費や客単価アップに貢献できる点が特徴のITサービスで、人件費を月あたり10万円削減できたという事例があります。こちらを使って、システム導入前後でお店の人時売上高がどのように変わるのか、具体的な数字をあてはめて比較してみます。

具体例

※前提 時給1000円 人件費10万円削減=100時間削減

【O:der Table導入前】売上高:200万 総労働時間:400時間 人時売上高:5000円

【O:der Table導入後】売上高:200万 総労働時間:300時間(100時間削減) 人時売上高:6666円

導入前後の売上高は同じですが、O:der Tableの導入後、注文と決済をお客様が行うことで総労働時間を100時間減らせた場合、人時売上高は1666円向上させることができます。 このように、ITを活用することでも、人時売上高を上げることができます。 O:der Tableの詳細はこちら

まとめ

人時売上高を把握し高めることで、お店の生産性を上げ、より健全な経営ができるようになります。ご紹介した方法やITを駆使して、サービスの質を保ったまま人時売上高を高めることを目指しましょう。

次回は「売上アップに活かす客数、客単価の考え方」をご紹介します。