飲食DXとは?飲食企業のDX担当者が知っておきたいポイントを解説

近年、幅広い業界で使われている「DX」。そんなDXを飲食業界で推進していく「飲食DX」は、“店舗業務を効率化するためのデジタルツール導入”と認識されることが多くありますが、実はそれだけではありません。

この記事では、「DX」の本当の意味から飲食企業がDXに取り組む「飲食DX」のメリット、さらにDX推進を積極的に進める企業の【導入事例】を紹介し、いま全飲食企業が取り組むべき「飲食DX」について詳しく解説していきます。

「飲食DX」とは?

「DX」とは何か

タブレットを操作する男性

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略。直訳すると、「デジタル=IT技術」を使ってビジネス環境を「トランスフォーム=変革」させていくという意味になります。ゆえに、DXの解釈を“デジタルツールの導入”で終えてしまいがちですが、それはあくまでDXの一部にすぎません。

では「DX」とは何か。経済産業省はDXの定義を以下のように明示しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。(2018年12月 経済産業省「DX推進ガイドライン」より)

多くの方が認識している解釈・デジタルツールの導入はこの定義の前半部分のみにあたります。つまり、DXの本質は、デジタル導入のその先にある「ビジネスの変革」と「競争上の優位性を確立すること」にあると考えられます。

>>>飲食DXに取り組む飲食企業の事例はこちら
飲食DXの成功事例8選!飲食店がDXに取り組むメリットも解説

飲食業界におけるDX「飲食DX」とは

配膳ロボット

DXの本質を飲食業界で具体的に考えてみましょう。

飲食DXの本質①:ビジネスの変革

経済産業省の定義前半にある「データとデジタル技術の活用」は、POSレジやモバイルオーダーなど、飲食業務に携わるデジタルツールの導入そのものにあたります。

大切なのはその導入から「ビジネスの変革」をうむこと。これは具体的に示すと「デジタルによる業務効率の改善、およびデータの蓄積と分析によるビジネススタイルの確立」を示します。

モバイルオーダー導入を例にすると 〜ビジネスの変革〜

店舗がモバイルオーダーを導入することが「デジタル技術の活用」で、モバイルオーダーを活用しスタッフの注文受付業務をなくすことや、お客様の注文データを分析して商品改善に役立てたり営業スタイルを変えたりすることが「ビジネスの変革」となります。

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デジタルツールを導入するだけではなく、店舗運営、ビジネスに役立てていくことが「飲食DX」の本質のひとつと言えるでしょう。

飲食DXの本質②:競争上の優位性

もうひとつのDXの本質「競争上の優位性」は、飲食業界においては他飲食企業よりも優位に立つという意味を示します。それを実現させる上で、欠かせないのが顧客体験価値の向上です。

顧客体験価値の向上とは、来店されたお客様がストレスなくその店舗での時間を過ごせるようにすること、およびサービスや商品などでその店舗ならではの価値を高めていくことを指します。後述しますが、これはコロナウイルス感染拡大を機に食の新時代に突入した今、お客様の来店を左右する重要指標のひとつと言えます。

モバイルオーダー導入を例にすると 〜顧客体験価値の向上〜

モバイルオーダーの導入により、スタッフを呼んでも来ない・注文ミスがあったなどお客様にとってストレスがある状態から、スタッフを呼ばなくても注文ができる・注文ミスが発生しないというストレスフリーな状態をつくり、かつ注文受付業務の削減で浮いた時間を使い店舗パフォーマンスを行なったり、できたての限定メニューをテーブルごとにご紹介するなど、その店舗ならではの価値を創出することで、顧客体験価値につなげることができます。

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こういった要素から、顧客体験価値の向上は他飲食企業との差別化やお客様満足度の向上につながり、DXの定義にある「競争上の優位性」を確立させることが可能になります。

改めて「飲食DX」とは

まとめると、飲食業界におけるDX「飲食DX」とは、

デジタルの活用により、

・業務効率の改善を図ること
・データの蓄積と分析で店舗改革を行うこと
・顧客体験価値を向上させること

上記3つを実現させることであると言えます。

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飲食DXの成功事例8選!飲食店がDXに取り組むメリットも解説

飲食DXに取り組むメリットとは

飲食企業がDXに取り組む必要性

「飲食DX」に各社が取り組む必要性は、今の飲食業界においての2つの課題と、それに対応する「飲食DX」のメリットにあります。

飲食業界の課題①:FLRコストの上昇

FLRコストの高騰

近年、FLRコストを構成する各コストが高騰しており、総合的にFLRコストが上昇していることが深刻な問題となっています。

FLRコストとは

FLRコストとは、売上に対するコストの割合のことで、原材料費をさすFoodのF・人件費をさすLaborのL・賃貸料をさすRoomのRをとって名付けられた、飲食店を経営する上で欠かせない指標の一つです。FLRコストは、FとLで50%~60%・Rで20%、トータルでは70%未満に抑えることがベストとされており、この数値を抑えるほど店舗の利益は上がり、逆に数値が上がるほど利益は下がります。

詳しくは下記記事でもご紹介しています。
「FLコスト」と「FL比率」知ってお店の経営状態を把握しよう
「FLコスト」を改善して利益UPをめざそう

原材料費(F)の高騰

背景には生産者の減少や環境変化、コロナを受けて高騰した物流コスト分が上乗せされていることなどがあり、日本のみならず世界中で同じような食料価格高騰状態が起こっています。

人件費(L)の高騰

飲食業界ではかねてより人手不足が問題となっていましたが、コロナによって業界への不安や感染リスク回避の傾向が高まり、この人手不足がさらに加速。飲食企業は経営を維持するため、人材の獲得や既存スタッフを維持する必要があり、結果的に人件費が高騰化しているのです。

賃貸料(R)の高騰

コロナによって売上が減少した結果、多くの飲食店で売上に対する賃料の割合が高くなりました。外出自粛や食の多様化により、人流が都内一等地よりも住宅街や郊外のロードサイドへ流れたように、家賃に対する売上の費用対効果が、かつて提唱されていたものとは大きく異なってきています。

飲食の課題②:食の多様化と外食に対する意識変化

飲食店のテイクアウト商品

新型コロナウイルス感染症の拡大により日本の食文化は大きく様変わりしました。自炊をする機会やテイクアウト・デリバリーの需要が大幅に増えた一方、店舗で食べる外食が減ったりと、食文化の変化・多様化が起こっています。

現在少しずつ収束に向かっていますが、以前のような食生活には戻らないとみられているなか、これからを生きる飲食企業は、この新しい生活様式や人々の外食に対する意識に合わせて店舗を変えていく必要があると言えます。

特に着目したいのは、外食に対する意識です。

コロナ禍を経て人々の店舗選びは、“その店舗を利用する価値があるか”という点を以前よりも重視する傾向にあるといわれています。内食や中食という食の選択肢が増えた今、外食には、食の美味しさ・エンタメ性・サービスの良さなど、その店舗へ赴かないと味わえない“体験”に大きな価値が見出されています。

その店舗を利用する価値=店舗でしか味わえない体験ができるかどうかが、人々の店舗選びの指標になったからこそ、これからの飲食店はいかに顧客体験価値を向上させ、数あるライバル店の中から自分の店舗を選ばせるかが重要な鍵と言えるでしょう。

2つの課題を解決させる希望が「飲食DX」

飲食業界の今を取り巻くこの2つの課題に対応し、飲食店の売上を向上させる手段として有効なのが「飲食DX」です。

「飲食DX」による業務効率化は、上昇したFLRコストへの対応策にもなり、かつ効率化された時間は顧客体験価値創造の時間に充てることが可能です。取得したデータを活かせば、よりよいメニュー・サービスを作る道筋がみえてきます。モバイルオーダーや配膳ロボットのように、業務を効率化しつつ、DXツールそのものが顧客体験価値のひとつになるものもあります。

業務効率化と顧客体験価値の創出という、飲食業界の課題に太刀打ちするこの2つのメリットこそが、いま全飲食企業が「飲食DX」に取り組むべき最大の理由です。

>>>飲食DXに取り組む飲食企業の事例はこちら
飲食DXの成功事例8選!飲食店がDXに取り組むメリットも解説

「飲食DX」を進める前に

カフェの会計でタブレットを操作する場面

ひとえに「飲食DX」といっても、その分野や手法は様々。どこから優先して取り組むべきかは店舗により異なります。

業態や価格帯、立地や雇用状況、運営形態や店舗として重要視するポイントは店舗ごとに様々あり、それに伴って発生する業務と課題、さらにその重要度も異なります。そのため、外食企業が「飲食DX」に取り組む際は、

・自店舗が何を大切にしているか、していきたいかといった軸を明確にする
・軸を踏まえて現在の課題を理解する

上記2点が大切です。2点を明確にさせることで、どの取り組みを重要とするかが自然と見えてきます。理想とする店舗像と現状の課題を把握することこそが、「飲食DX」を円滑に進めていくためのひとつの鍵となります。

自社開発と飲食DXツール、どちらがいい?

自社開発はハイリスクハイリターン。まずは飲食DXツールの活用がおすすめ

飲食企業が「飲食DX」を進める際に考えられる手段は、自社開発とSaaS型の飲食DXツールの大きく2つ。

ただし自社開発は、自社の要望にしっかり合致したものを作り出せる可能性がある一方、莫大なコストがかかったり、知見が少ないなかではそもそも求めるシステムが作り出せなかったりと、リスクが大きいところが難点です。

一方SaaS型の飲食DXツールは、初期費用と月額費用が主な発生コストで自社開発ほどかからないことが多い上、基本的に期間契約なので、合わなかった場合はシステムを変更するなど、店舗での運用状況やお客様の反応などをみて柔軟に変えていくことが可能です。

ツールによっては即日導入が可能など、導入までの期間が短いというメリットもあるため、コスト・柔軟性・スピードという3点から、まずはツールの活用をおすすめします。

飲食DXツールを選ぶ際は、ツールの“成長性”にもご注目

自社開発と比較した際のSaaS型の飲食DXツールの懸念点のひとつは「希望する機能があるかどうか」。要望する機能がないくらいなら自社開発!というのも、もちろん選択のひとつになります。

ただ、飲食DXツールは近年成長が著しい分野です。ベンダーは各社で頻繁に機能アップデートを行なっており、ツールは日々進化しています。将来性を見込んで、飲食DXツールを活用している飲食企業も多く、ベンダー側は導入した飲食企業からのフィードバックを元に機能開発を行なっていくため、どんどん店舗に合致したシステムに成長する可能性もあります。

様々な点を考慮した上で、自社に合ったやり方で「飲食DX」を推進していきましょう。

飲食DXを行うためのデジタルツール例

飲食DXを行うためのツールは、飲食店で発生する業務ごとに様々なものがあります。具体的にどんなツールがあるのか、いくつかご紹介していきます。

来店前に役立つ飲食DXツール

飲食店をMAPから検索する場面

集客ツール

集客は飲食店にとって欠かせない業務の一つです。顧客に対して自店舗の魅力をただアピールするだけでなく、顧客がどんな所にニーズを感じるかをよく分析し、いかに応えた魅せ方をしていくかがポイントとなります。

InstagramやTwitterといったSNSも集客ツールのひとつ。基本的にSNSのビジネスアカウントでは、どんな人が閲覧していてどんな投稿に反応を示しているかなどのデータ閲覧が可能です。集客ツールを使ってこういったユーザーデータを分析することで、顧客のニーズを把握し、よりニーズに合った店舗作りを行うことができます。

顧客管理ツール

顧客管理は来店された顧客のデータ分析から顧客の真のニーズを把握し、よりよい店舗運営に活かすために必要な業務です。飲食店が顧客管理を行う上で理想とされる項目は、属性(指名や生年月日)・来店履歴・連絡先・注文メニューなどが挙げられますが、こういった項目を紙などアナログで行なっていくにはやや時間がかかってしまいます。

顧客管理ツールを使うと、こういった顧客にまつわる大量のデータを一括で管理することが可能です。また、ツールによってはECサイトやデリバリーシステムとの連携で、より効率的にデータ収集ができるというメリットがあります。

来店後に役立つ飲食DXツール

店内向けモバイルオーダーシステムのO:der

モバイルオーダー (店内向け)

店内向けのモバイルオーダーとは、お客様がスマホでQRコードを読み取ると店舗のメニューが表示され、そのまま注文ができるオーダーシステムです。ホールスタッフが注文をとる時間が削減されるため、その分の人件費を削減したり、配膳など他の業務に時間を充てられるほか、顧客にとっては店員を呼ばなくても注文が可能・ゆっくり選べる・オーダーミスがない等のメリットがあり、これは顧客体験価値の向上にも繋がります。

店内向けのモバイルオーダーには注文機能以外にも、食べ飲み放題コースに対応した機能やオンライン決済機能があるほか、システムによっては、取得した顧客データと注文データを紐つけたデータ分析が可能なものもあります。

モバイルオーダーは幅広い業務の効率化と顧客体験価値向上の可能性から、「飲食DX」のなかでも注目を集めるツールの一つとなっています。

>>>モバイルオーダーについて解説した記事はこちら
モバイルオーダーとは?導入するメリット・デメリットを店舗、お客様側視点で解説!
モバイルオーダー導入の飲食企業8選!活用法や導入メリットも紹介
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配膳ロボット

近年見かける機会も増えた配膳ロボットは、配膳業務と下げ膳業務を、AIが搭載されたロボットが自動で行うツールです。ホールスタッフのメイン業務が軽減されるため、人手不足の解消につながるほか、スタッフが人にしかできない接客業務に専念することができます。

コストはややかかるものの、非接触需要の高まりという後押しもあり、多数の飲食企業で活用されています。

店舗運営で役立つ飲食DXツール

エプロンをつけた女性がタブレットを操作する場面

勤怠・シフト管理ツール

飲食店で働くスタッフの勤怠やシフト管理を行う際は、売上げ予測から適切な人件費を割り出した上で、正社員とアルバイトの契約労働時間を考慮する必要があります。これをExcelやタイムカードで行うのはかなり根気のいる作業となるため、管理担当である店長やエリアマネージャーの負担は大きく、勤怠・シフト管理業務は、飲食業界の中でも現場管理職の離職要因の一つとされています。

勤怠・シフト管理ツールを使うと、シフト作成に必要な売上予測から各スタッフの勤務可能日・時間までを一元管理できるため、管理担当者の作業負担を大幅に減らすことできます。また本部担当者にとっても、決まったフォーマットでミスなく各店舗との情報連携ができるメリットがあるため、飲食企業全体の業務効率化にもつながります。

売上管理システム

売上管理システムは、飲食店の売上高を数値管理するだけでなく、売上の中身となるメニュー出数・客数・利益率などのデータを細かく分析し、店舗の問題点発見と改善に役立つツールです。

POSレジや受発注システムなど他システムとの連携により、リアルタイムでその日の利益状況がわかったり、メニューの出数と原価率を考慮した食材の仕入れが可能だったりと、売上管理システムによる分析結果を元にした業務に即日取り組める点も大きなメリットとなっています。

店外飲食で役立つ飲食DXツール

モバイルオーダーを利用する女性

モバイルオーダー (店外向け)

店外向けのモバイルオーダーシステムとは、テイクアウトやデリバリーなどをお客様のスマホから注文できるオーダーシステムです。お客様にとっては、店頭に並ばず出来たての料理が受け取れる・ゆっくり選べるなどのメリットがあり、店舗側には、注文受付業務が軽減する・レジ混雑を解消できるといったメリットがあります。

モバイルオーダー には主にアプリ型とブラウザ型があり、アプリ型はプッシュ通知などで再来店を促す施策が打てる一方、アプリダウンロードのハードルの高さにやや課題があるのに対し、ブラウザ型は自社のHPやSNS、Googleマップ等に直接リンクを貼り付けて導線を増やせるため、お客様の利用を促しやすいという特徴があります。

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ECサイト

飲食企業が運営するECサイトは、コロナ禍で大幅に増加しました。飲食企業がECサイトを開設するメリットは、商圏の拡大や時間に左右されない業務ができる=設備・人材を有効活用できることなど様々あり、近年の食の多様化に対応する飲食DXの取り組みのひとつとなっています。

ECサイトにはモール型と自社サイト型があり、サイト型は楽天やAmazonなどすでに全国にユーザーをもつ媒体の上に成り立っているため集客力が高く、幅広い層に向けた発信が可能です。一方自社サイト型は、独立サイトになるため、一から集客を行なっていく必要がありますが、デザインや導線を自由に構築できるというメリットがあります。

飲食DXツールは分野も種類も様々

飲食DXには他にも、受発注システム・経営管理システム・テイクアウト&デリバリーの一括管理ツール・予約管理ツール・接客ロボット・自動音声応答システム・来客予測AIシステムなど様々な種類があります。

店舗の課題と優先着手すべき分野を明確にしたのち、その店舗に合った飲食DXツールを選択していきましょう。

>>>飲食DXに取り組む飲食企業の事例はこちら 飲食DXの成功事例8選!飲食店がDXに取り組むメリットも解説

「飲食DX」の成功事例3選

「飲食DX」で成功している飲食企業の事例を3つご紹介します。

トリドールホールディングス株式会社(丸亀製麺)

トリドールホールディングス株式会社が掲げる「DXビジョン2022」の推進シナリオ
トリドールホールディングス株式会社「DXビジョン2022」の推進シナリオ(公式HPより)

「丸亀製麺」や「コナズ珈琲」など、国内外で数多くのブランドを展開しているトリドールホールディングス株式会社は、経営戦略の一環として「DXビジョン」をかかげており、飲食業界では先陣を切って全社的にDXを推進している企業の一つです。

同社はDX推進にあたり、「業務改善および新規ビジネスの創出」という明確な目的をまず示したうえで具体的な進め方やロードマップを細かく組み立て、飲食DXを推進しています。

こういったDX戦略が功を奏し、2022年7月に発表された「顧客体験価値」の日本企業ランキング2022年版(※)では、「丸⻲製麺」が首位を獲得、一般消費者のニーズを最も理解しているといった結果となりました。
※株式会社インターブランドジャパンがまとめた、一般消費者の視点からみたブランド価値を数値化したランキング

トリドールホールディングス株式会社のDX戦略は、飲食業界のみならず他業界からも参考とされる緻密さで、DXの推進を目指す数多くの企業の見本となっています。

>>>丸亀製麺のモバイルオーダーについて、もっと詳しく
「DX推進プロジェクト」の名の下、コロナ禍に一斉導入。うどんのお持ち帰りをデジタルが後押し

ワタミ株式会社(和民・焼肉の和民)

「焼肉の和民」が2022年6月に導入した配膳ロボットバーチャル店員
「焼肉の和民」が2022年6月に導入した配膳ロボットバーチャル店員(プレスリリースより)

ワタミ株式会社が2020年に新業態として立ち上げたブランド「焼肉の和民」では、特急レーンに注文タブレット、配膳ロボットからAIバーチャル定員など数多くの飲食DXツールが導入されており、徹底的に人件費を削減した店舗運営を行なっています。

同社の「飲食DX」は、ツールの導入で業務効率化した分を商品の低価格化や質の向上に充てることで商品満足度を高めるだけでなく、キャラクターをモチーフとしたAIバーチャル店員や、ネコ型の配膳ロボットといったエンタメ性のある最新飲食DXツールを導入するなど、ツールそのものを顧客体験価値の創造に活用している点が特徴です。

「飲食DX」により安い・うまい・楽しいを店舗を実現させ、「飲食DX」の本質である業務効率化と顧客体験価値の向上を実現させている例となっています。

株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(スシロー)

「スシロー」に設置してある自動土産ロッカー
「スシロー」に設置してある自動土産ロッカー(プレスリリースより)

大手回転寿司チェーン「スシロー」を展開する株式会社FOOD&LIFE COMPANIESは、「飲食DX」で顧客のニーズを着実に掴んだ店舗改革を進めています。

同社は日頃より顧客の声を大切にしており、非接触でのテイクアウトというニーズに対してはモバイルオーダーと連携した自動土産ロッカーの導入をしたり、混雑による顧客不満に対しては順番待ちシステムやセルフレジシステムを導入したりと、顧客の声から明らかとなった課題やニーズに対する改善策として飲食DXツールを活用しています。

日々変わりゆく市場や顧客のニーズを把握し、原因を分析したうえで自店舗に足りない部分をデジタルで補う、飲食DXを推進していくうえで参考になる事例です。

>>>飲食DXに取り組む飲食企業の事例はこちらでも
飲食DXの成功事例8選!飲食店がDXに取り組むメリットも解説

「飲食DX」のまとめ

「飲食DX」の意味やメリット、事例について解説しました。

繰り返しとなりますが、「飲食DX」はツール導入の先にある、業務効率の改善・データ分析からの店舗改革・顧客体験価値の向上が目的となります。まずは自店舗にどんな課題があり、どこから優先着手していくべきかを見定めた上で、本当に意味のある「飲食DX」を進めていきましょう。

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written by

FOOD-IN編集部

FOOD-IN編集部ライターが未来の飲食店をつくるための経営ノウハウをどのメディアより”分かりやすく”をモットーにお届けします。