「SDGsの取り組みをしているお店=良いお店」が飲食店の新常識。今から始める3つのこと

ニュースなどで「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という言葉を耳にしたことがある方も多いのでは?「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。簡単にいうと未来の地球環境や社会にとって良いアクションを国際社会みんなでやっていきましょうという目標です。

環境問題に配慮した食品の活用、ゴミ削減など飲食店が実行することでお店のイメージアップにつながることもあり、取り組みを始めるお店も増えてきています。今回は飲食店が考えるべきSDGsについて解説します。

前回の記事はこちら

対応必須らしいHACCP(ハサップ)…どうすればいいの?

この記事を読んでできるようになること!

SDGsってなにかわかる
飲食店でやらなきゃいけないことがわかる

そもそも「SDGs」って?

「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年9月に、国連で開かれたサミットで決められた国際社会共通の17個の目標を指しています。「国際社会が抱える、社会、経済、環境などのさまざまな問題をクリアすることで、すべての人々が豊かな暮らしを送れる社会を目指す」というもの。

SDGsリスト
(出典:https://www.unic.or.jp

2030年までに「SDGs」を達成するため、世界中の政府や企業、または個人単位でもこの目標になぞらえたアクションが広がっています。

これは飲食業界も同様です。最近、スターバックスのストローがプラスチック製から紙製に変わったことを知っていますか?これもSDGsの取り組みのひとつです。プラスチックストローは、自然分解されずに海まで流れ着き、海の生物に影響を与えることが懸念されるためです。

飲食店SDGsの取り組み
紙ストローでも意外と美味しく飲めます!(iStock)

もちろんスターバックスのような大きなチェーン店だけでなく、中〜小規模の飲食店でもこのSDGsになぞらえた取り組みが始まっています。

多くの飲食店にとって「SDGs」は他人事じゃない!

「SDGsが飲食店と何の関係があるの?」と思う方もいるかもしれませんが、SDGsは「食」の問題とも密接に関わりがあります。たとえば、環境が破壊され、気候変動や水質汚染が進めば、今まで安全に食べられていた食材が食べられなくなり、健康に悪影響を及ぼすようになるかもしれません。

環境や、人の健康を意識した対策をすることで「SDGsに取り組んでいる」と言うことができ、お店の印象アップにもつながります。

では、飲食店は具体的にどのような取り組みをする必要があるのでしょうか?

具体的な取り組み1:食品ロス削減

SDGsの目標に掲げられた「12:つくる責任 つかう責任」の達成につながるのが「食品ロス削減」です。賞味期限切れや食べ残し、仕入れたのに腐らせてしまったなどなど、食べられるのに捨てられる大量の「食品ロス」が問題になっています。

食品ロスをなくそう
まだ食べられるのに捨てるのはもったいない!!

対策としては、ハーフサイズや小盛りのメニューを取り入れ、食べ残しを出さない工夫をすること。あらかじめお客様が食べきれる量を考えて提供するのが大切です。作り置きメニューはできる限り減らしましょう。刺し身のツマを減らしたり、飾りのパセリなど思い切ってカットするのも◎。

食品ロスを意識することで、ムダに仕入れて廃棄するといったこともなくなり、環境にいいのはもちろんコスト削減にもなるというメリットも。

フードシェアリングや、料理の持ち帰りサービスを実施するのも良いでしょう。アメリカでは残した料理を「ドギーバッグ」と呼ばれる袋や容器に入れて持ち帰る仕組みが普及しており、近年日本でも見られるようになってきています。

フードシェアリングとは?

飲食店でつくった料理が余ってしまったとき、そのままぜんぶ捨てるのはもったいないですよね。そんなときに役立つのが、余った料理を「欲しい」人へ提供する「フードシェアリング」というサービスです。

最近では、「TABETE」「ReduceGo」など、廃棄間近の食品をアプリ上で出品することができるフードシェアリングアプリも登場しています。ただし、衛生上の問題がリスクとなり得るため、持ち帰り希望者には食中毒のリスクや注意事項を十分に説明しましょう。生ものなど、加熱が不十分な料理は要望があってもNG。持ち帰った料理はできるだけ速やかに食べるよう、お客様にアナウンスするのも大切です。

O:der Platformバナー

具体的な取り組み2:プラスチックゴミ削減

SDGsの目標「13:気候変動に具体的な対策を」「14:海の豊かさを守ろう」「15:緑の豊かさも守ろう」の達成につながるのが「プラスチックごみ削減」です。

プラスチックごみは海洋、環境汚染の原因であり、健康被害も懸念される問題。脱プラスチックの動きは世界的に加速しています。先ほどスターバックスの紙ストローについて解説しましたが、スターバックス以外でも、大手飲食チェーンが続々と取り組みを始めています。

ストローをはじめ、テイクアウト用の容器や袋など、店舗で使用するプラスチック用品は多いもの。これらを紙製など別の製品に交換し、消費をおさえることで、SDGs達成に貢献することができます。

プラスチックゴミ削減のために容器を変更
エコフレンドリーな紙製容器。プラ容器より価格はやや高めだけど、お店のイメージアップには◎(iStock)

「今すぐすベて紙製に切り替えるのは難しい」という場合は、まずはごみの分別を徹底することからはじめましょう。これが、環境を守る取り組みにつながる第一歩となります。

ですが、分別を徹底したゴミであっても、飲食店から出るゴミは資源ゴミなど一部の例外をのぞき、一般的なゴミ箱に捨てることが許可されていません。そこで便利なのが、専門のゴミ回収業者に定期回収を任せる方法です。365日24時間対応の業者も増えているので、個々の飲食店にあった回収をお願いすることができますよ。分別→廃棄→回収まで徹底し、リサイクルに取り組みましょう。

具体的な取り組み3:サステナブル・シーフードの活用

SDGsの目標「14:海の豊かさを守ろう」の達成につながるのが、海の生態系や自然に配慮した漁業で獲られた水産物「サステナブル・シーフード」を活用することです。海の生き物は、適量を獲れば食べ続けられますが、むやみに獲り続ければ減っていってしまいます。水産資源や環境に配慮し適切に管理されたサステナブル・シーフードである認定された水産品には「ASC」または「MSC」のラベルが付けられます。

サステナブル・シーフードの認証ラベル
左がMSC認証、右がASC認証のラベルです。漁獲方法が「養殖」か「天然」で違います

マクドナルドもSDGsへの取り組みを積極的に行っている会社のひとつです。定番メニューのひとつである「フィレオフィッシュ」には、パッケージの側面にMSC認証が付けられているんですよ。

サステナブルシーフードへの取り組み
マクドナルドプレスリリースより

「SDGsの取り組みをしているお店=良いお店」が飲食店の新常識!

消費者の「SDGs」への意識はこれまで以上に高まっており、飲食店にとっても他人事ではないですよね。記事にあげた3つの取り組み「食品ロス削減」「プラスチックゴミ削減」「サステナブルシーフードの活用」は、実行しやすいと思います。できることから始めてみては?

次回の記事はこちら

緊急事態宣言の延長..2021年2月も申請可能な飲食店の補助金は?

O:der Tableバナー

written by

FOOD-IN編集部

FOOD-IN編集部ライターが未来の飲食店をつくるための経営ノウハウをどのメディアより”分かりやすく”をモットーにお届けします。