原価より安い?採算度外視のメニューが売上をアップさせる秘密とは?

「こんなに原価率高そうなメニューを提供していて、どうやって利益出してるんだろう?」と思う飲食店を目にしたことはありせんか?人気で多くのお客様が来ている、でもこの安さで本当にやりくりできているのだろうか?と。そのからくりに迫ります。

人気の秘密は赤字メニューにあり?

飲食店ではFLコスト——つまり、売上に占める食材費と人件費の割合が大切です。FLコストは低ければ低いほど利益が出るため、飲食店が健全な経営をするには60%以内が理想とされています。

FLコストについてはこちらでくわしく解説しています

「FLコスト」と「FL比率」知ってお店の経営状態を把握しよう

しかし近年、明らかにFLコストが大きい利益度外視の商品に注目が集まっています。

「赤字覚悟!」「メガ盛り」など「本当にこの値段で良いの?」と、お客様が心配するほどお得なメニューを見かけたことも多いのでは?人気のある飲食店では、良い食材を使っているのに、気軽に頼める金額で統一されていることも珍しくありません。

例えば、商品のほとんどを100円で販売している大手回転寿司チェーンのかっぱ寿司。100円に統一された定番メニューのほかに、天然ものや国産素材を使った期間限定商品を破格の価格で提供しています。にもかかわらず、2019年3月期決算説明資料によると、売上は前年より下がっていますが、営業利益は2億5,100万のプラス、経常利益も2億4,400万円のプラスとなっています。不思議ですよね。

赤字メニューは集客装置?

ではなぜ、赤字覚悟のメニューを販売しているにもかかわらず、利益を生み出せているのでしょうか?その秘密は、赤字メニューと他のメニューでバランスをとっているためです。

例えば「赤字覚悟!期間限定国産本ズワイガニ2貫で100円!」という商品を見て、回転寿司に行ったとします。しかし、目的のものだけを食べて帰る、ということはほとんどありませんよね。せっかく回転寿司に来たんだから、他のものも食べて帰ろうと、マグロやいくら、えびなども食べるでしょう。

お店側としては、赤字覚悟のメニューを見てきた人が他のメニューも食べて帰ることで、原価率の高いメニューと低いメニューを同時に頼んでくれることになります。

たとえば、粗利0%のかにを目玉メニューをした場合。

商品 売値 注文数 合計価格 粗利 粗利率
かに 200円 1 200円 0円 0%
えび 100円 2 200円 60円 30%
いか 100円 2 200円 70円 35%
たこ 100円 2 200円 60円 30%
まぐろ 100円 2 200円 40円 20%
味噌汁 180円 1 180円 72円 40%
ビール 590円 2 1,180円 413円 35%
合計 - - 2,360円 735円 30%

他のメニューと合計してみると、最終的な粗利率は30%となっています。
説明のためメニュー数をしぼってやや簡易的にはしていますが、理屈としてはこのようにイメージしてください。

つまり、原価率の高いメニューを広告塔として集客することで、原価率の低いメニューも多く出て、売上や利益がアップする可能性があります。そのため、人気のある飲食店では、利益度外視でインパクトのあるメニューを作って、お客様を集めています。こうしたメニューは宣伝効果が高いため、取材が来たり口コミで広まったりしやすく、集客コストの削減にもつながります。

実は人気チェーンもこの手法だった!?

このように原価率の高いメニューと低いメニューを組み合わせて販売する手法を「マージンミックス」と呼びます。先述したかっぱ寿司もそうですが、こうした手法は大手の飲食チェーン店でよく活用されています。

例えば、大手居酒屋の鳥貴族。野菜も肉もすべて国産を使っているにもかかわらず、ほぼすべてのメニューが280円です。同じく大手回転寿司チェーンのスシローも、価格はほとんどが1皿100円で統一されています。おいしくて安い、さらに満足感もあるとあって、多くの人から指示を集めています。

鳥貴族の場合は「貴族焼」と呼ばれるジャンボ焼き鳥、スシローの場合はいくらやうになどの高級ネタが原価率の高いメニューで、同時にお店の広告塔となっています。これらの商品で人を呼び、他の原価率の低い商品を同時に頼んでもらうことで利益を上げています。

また大手チェーン店には、大量の食材を一気に仕入れることで単価を下げられるという強みもあります。さらにメニューの数(もしくは原材料の種類)を絞ることで、廃棄ロスを少なくする、スタッフの負担を少なくすることで人件費を抑えるなどの、徹底したコストダウンが行われています。こうした努力も、顧客満足度を損なわずに利益を上げる方法のひとつですね。

お店で赤字メニューを取り入れるには?

飲食店で赤字メニューを取り入れるには、まずFLコストを算出し、集客用のメニューと収益用のメニューを分けて考えます。集客用のメニューは、話題性がありお客様が食べてみたいと思えるようなものにすることがポイントです。一方、収益用のメニューは原価率を下げて、集客用のメニューとのバランスをとりましょう。

また集客用のメニューばかりが出てしまうと、利益が生まれません。集客用のメニューは数量や期間を限定するなどして、想定以上の数が出ないように調整することが大切です。限定とすることで希少性が生まれ、より多くの人に魅力を感じてもらえます。

メニューの売上・原価とお店への貢献度を可視化したい方はこちらの記事をどうぞ

【初心者向け作業シート付】お店に貢献してるメニューは?データでしっかり分析しよう

まとめ

原価率は低い方が利益は出ます。しかし、一部のメニューを利益度外視とすることによって注目を浴び、多くのお客様の来店を見込むことができます。原価率の高いメニューと原価率の低いメニューのバランスをうまくとって、より多くのお客様と利益を獲得しましょう。